岐阜県警岐阜北署の巡査長に暴行したとして公務執行妨害罪に問われ、1審の岐阜地裁で罰金30万円の有罪判決を言い渡された岐阜市の男性(72)に対し、名古屋高裁の下山保男裁判長は7日、「巡査長が記憶に反する供述をした疑いが濃い」として逆転無罪を言い渡した。
起訴状によると、男性は08年8月27日午前10時ごろ、自宅近くの路上で、同乗の孫にチャイルドシートを着用させずに車を運転。目撃した巡査長らが運転免許証の提示を求めると、巡査長の胸を手のひらで2回突くなどし、警察官の職務を妨害したとして現行犯逮捕された。
男性は一貫して無罪を主張。また公判で、巡査長と一緒にいた巡査は男性が胸を突いたのを見ていないと証言した。このため判決は男性が暴行したかどうかは分からないと結論づけた。男性は逮捕から保釈された9月19日まで拘置された。
1審判決は巡査長の証言の信用性を認めて有罪を言い渡し、男性が控訴していた。
判決を受け、名古屋高検の田内正宏次席検事は「判決内容を慎重に検討の上、適切に対処したい」とコメントした。【山口知】
毎日新聞 2009年7月7日 20時49分(最終更新 7月7日 22時21分)