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初のDV調査で問題の根深さ浮き彫りに/横浜
- 社会
- 2009/07/06
横浜市は6日、ドメスティックバイオンレンス(DV、配偶者などからの暴力)について、本格アンケート・被害者面接調査の結果を発表した。配偶者などに身体的、精神的、性的な加害経験のある人は男性で50%、女性で36%に上った。一方、被害の経験は男性42%、女性43%で、被害後に相談をした人は、男性で8%、女性で28%にとどまった。DVの「根深さ」が浮き彫りになった形だ。アンケート結果では、解決への方策として、暴力をなくすための子供たちへの教育の重要性が指摘された。
調査結果によると、DVの加害経験は、男性の場合、「何度もした」12%、「1、2度した」が38%。類型別では、殴るけるなどの身体的暴力が19%、刃物で脅す、家具を壊す、大声で怒鳴る、長時間無視する、生活費を渡さないなどの精神的暴力が46%、性的暴力が10%だった。
女性側の加害では、「何度も」が10%。類型別で身体的暴力は17%、精神的暴力31%、性的暴力1%。
注目されるのは暴力の認識。「どんな場合でも暴力にあたる」との回答は、「こぶしで殴る」は93%だったが、「平手で打つ」は68%にとどまった。「長時間無視し続ける」は40%、「大声で怒鳴る、ののしる」は54%、「だれの稼ぎで生活できているんだなどと言う」は48%。市男女共同参画推進課は「精神的暴力の分かりにくさが被害を継続させている」と分析する。
DV被害後の関係では、女性で「別れた」のは10%。別れなかった理由は、「子供がいたから」51%、「経済的な不安」35%など。「被害の相談窓口を知らない」も女性20%、男性18%あり、啓発活動強化の必要性が明らかになった。
一方、面接調査では、被害者25人中21人が、交際開始後の早い段階で最初の暴力を経験。「結婚したら直ると思ったが変わらなかった」などと回答した。
必要な施策としては、66%が学校などでの子供たちへの教育を指摘。60%が加害者への加罰強化と更正教育を挙げた。
被害者支援を行っている特定非営利活動法人(NPO法人)「かながわ女のスペースみずら」の阿部裕子事務局長は「潜在しているDVの層の厚さを感じる。女性が別れられず、被害が拡大している背景に母子家庭の貧困問題がある。解決が急務」と話している。
アンケートは昨年10、11月、20歳以上の男女3千人を対象に行い、884人(29・5%)から回答を得た。面接調査は被害者25人に行った。
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