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死因究明のモデル事業、2年間延長を検討

6月24日15時18分配信 医療介護CBニュース

 医療関連死の死因究明や再発防止に役立てることを目的に、厚生労働省が2005年度から今年度までの予定で実施している「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」を、2年間延長する方向で検討していることが6月24日、明らかになった。

 モデル事業の中央事務局長を務める山口徹・虎の門病院長によると、2年間延長する方針は、4月に開かれた同事業の運営委員会で厚労省側から提案があり、「基本的に運営委員会では了承した」という。

 モデル事業は、現在は日本内科学会が38学会の支援を受けて実施しているが、延長後の事業主体については、同学会のほか、日本外科学会、日本病理学会、日本法医学会の4学会で近く協議する。山口氏は「(モデル事業が終了する)来年3月までには具体的な格好を決めないといけない」と話している。

 モデル事業では、患者遺族の同意を得た上で、医療機関から診療行為に関連した死亡の調査依頼を受け付け、診療記録などの調査や聞き取りを行った後、解剖を行う。さらに、原因究明や診療行為との関連の評価などに必要な事項について、臨床面からの調査を行い、「地域評価委員会」が評価結果報告書を作成。調査を依頼した医療機関と患者遺族に報告する。その後、地域から送られてきた同報告書などを基に、「中央評価委員会」が再発防止策などを検討、公表する。事業は現在、10地域で実施されている。

 モデル事業は、厚労省の医療安全調査委員会設置法案(仮称)策定に生かすために事例を重ね、調査や評価などの過程で生じる課題を明らかにする役割を担っている。山口氏は「(死因究明)制度創設に向けた予備事業として始まったと理解している。制度化が見えた時点からは、準備事業になる話だと思う」とした上で、「モデル事業をやっている方としては、(延長する)2年間で何とか法案にして制度化が見えるような格好になるものだろうと理解している」と話す。

 モデル事業における課題としては、4月の運営委員会で、▽評価方法の標準化▽院内調査委員会との円滑な情報交換▽全国の医療機関に対する再発防止などの提言-などが挙げられている。
 厚労省の佐原康之医療安全推進室長によると、モデル事業の延長は、これまでに見えてきた課題の解決策を探り、将来的に設置を想定している医療安全調査委員会(仮称)などの「公的な第三者機関」による死因究明や再発防止策の検討に役立てるため。佐原室長は課題の解決策などについて、「もう2年くらいで結論を出していける形になれば」と話している。

 また、厚労省案では、医師法21条を改正し、医療機関が医療安全調に届け出た場合には、同条の「異状死」としての警察への届け出を不要とするとしている。しかし、モデル事業は現行の医師法の下で実施されているため、調査分析を行う事例が限られている。山口氏は「制度化が決まったとしても、医師法21条関連の事例の検討など、課題はたくさんある」と指摘している。


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最終更新:6月24日15時18分

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