林 英彰(はやし ひであき)プロフィール

 
α 研究活動の概要
 古代ギリシアにおける教育哲学を身体観を切り口として研究しています。具体的には、
・プラトンやアリストテレスなどギリシア古典期の哲学、特に教育に関わる思想において身体がどのような位置にあるか
・ホメロスから古典期にいたる間に身体という観念がどのように形成されたのか
・ギリシア的な身体観や教育思想の形成に際してスポーツ的な競技の文化がどのような役割を演じたのか
・古代ギリシアにおける身体と教育の思想がその後の時代、とくに西洋の近・現代における体育の制度化にどようような影響を与えたか
といった事柄が主要な研究課題です。
 2千5百年も昔の事を研究して実際的に何の役に立つのか、という疑問にしばしば接するのですが、例えば、現代における世界最大のスポーツ大会が“オリンピック”と呼ばれているという一事をとってみても、古代ギリシアは、決して単なる過去ではなくて、むしろわれわれの現在を構成する主要な契機だと考えられます。また、目前の事業が行き詰まったり、それについての弊害が目立ったりしてくると、“原点に還れ”という主張がされますが、本当の原点に還ってみないと、原点に還ったつもりで、実は全然現状を脱していないということもあります。古代ギリシアだけが唯一絶対の原点であるというような主張をするつもりは無いのですが、少なくとも、体育やスポーツといった事象を考える場合の原点として、なお有効なポイントであると考えています。
 
β 最近の研究業績
・身体のテオーリアー:身体論の歴史・方法・意義, (共著), 体育原理研究, 26, 1996年6月, p. 85-102
・身体のテオーリアー:身体における自然性と文化性, (共著), 体育原理研究, 27, 1997年6月, p. 85-102
・健全なる身体への疑問:古典的身体観の末路, (単著), 体育原理研究, 第28号, 1998年6月, p. 97-102
・実践知の立場からとらえたスポーツ科学(T):ディレンマ, (単著), 体育科教育, 46(16), 1998年11月, p. 61-63
・実践知の立場からとらえたスポーツ科学(U):理論知の囲い込みと科学の逸脱, (単著), 体育科教育, 46(18), 1998年12月, p. 60-62
・実践知の立場からとらえたスポーツ科学(V):スポーツ科学は《役に立つ》のか?, (単著), 体育科教育, 47(1), 1999年1月, p. 62-64
・「からだほぐし」の哲学的検討:新しい教養教育に対する体ほぐしの可能性, (単著), 日本体育・スポーツ哲学会第22回大会大会号, 2000年8月, p. 21
・からだを育てる:学校という場の再生を賭けて, (共著), 日本体育・スポーツ哲学会, 22(1), 2000年9月, p. 37-44
・現代社会とスポーツ:スポーツのメディア機能, (単著), 平成12年度宇治市体育・スポーツ指導者養成講習会, 2001年1月, p. 1-7
 
γ 略歴
1960年、岐阜県岐阜市生
1983年、筑波大学体育専門学群卒業
1988年、教育学修士(筑波大学体育科学研究科)
1989年、筑波大学大学院体育科学研究科博士課程単位取得退学
1991年、筑波大学体育科学系準研究員
1993年、筑波大学体育科学系助手
1995年、京都教育大学教育学部講師
1997年、京都教育大学教育学部助教授〜現在に至る
 
II 担当授業
 
α 教育学部:
  体育原理、身体文化論、生涯スポーツ実習(屋外球技、スキー)、体育原論演習I II
 
β 大学院教育学研究科:
  体育学特論、体育学特別演習