be-nippon 「美しい国づくり」プロジェクト

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この人に聞く!


川勝平太「美しい国づくり」企画会議有識者:静岡文化芸術大学学長

「富国有徳のガーデンアイランズ」に向けた「美しい国づくり」


川勝平太 日本は、日本列島と国民生活とからなります。私の思い描く「美しい日本」とは、西太平洋の北縁に弧状に広がる「ガーデン・アイランズ(庭園の列島)」であり、国民が富と徳とを両立させている「富国有徳」の国です。
 私の思い描く美しい日本は「富国有徳のガーデンアイランズ(日本列島)」です。
 「富国強兵」の国是は経済力と軍事力とを一体とした強い国づくりのためのものでした。日本は、敗戦を経験して軍事立国のアナクロニズム(時代錯誤)を認識し、経済立国も心を豊かにするとはかぎらないことも経験済みです。
 「物の豊かさ」よりも「心の豊かさ」を求める人が多くなっています。経済力は、幸福の必要条件ですが、十分条件ではありません。「徳は孤ならず」(『論語』)といわれるように、学徳は人をひきつけるように、国家が徳(品格)を持ち、海外から尊敬される、それが「富国有徳」です。
 軍事力は防衛と国連の平和維持活動に、経済力は文化の向上のために使う。文化力をつけて、「力の文明」から「美の文明」になることが課題です。美の文明とは「いいなあ、かっこいい、美しい」と感動させる文化をもつ国になることです。
 何をもって美しいとするかは、人によって異なるので、政府が押し付けることはできません。各人が生き方に花のあるスタイルを持つこと、地域が感動に満ち魅力的になること、それが文化力を磨く道であり、「これぞ!」と思う地域づくりの競い合いをする。この競い合いに害はありません。感動を生むことの競い合いです。
 「文化的景観」という言葉をご存知ですか。ユネスコが導入して15年が経ちます。文化的景観とは、人の心が入っている景観です。日本には「借景」や、山岳信仰、沖縄のニライカナイ(*)のような海洋信仰があります。海に開かれた日本列島全体を「文化的景観」で表現すると「ガーデンアイランズ」といえるでしょう。
 「美しい国づくり」は、西太平洋に弧状に浮かぶ美しいガーデンアイランズと呼ばれうる世界一美しい国への道です。それは「水の惑星(地球)を宇宙に浮かぶ美しいガーデンアイランドにする」という理想へ向けて、日本が先導役になることでもあります。
*注   ニライカナイ:奄美・沖縄地方で、海の彼方にあると信じられている楽土。そこから年ごとに神が訪れ、豊穣をもたらすと考えられている。(広辞苑第五版より)

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