福岡県飯塚市で1992年に小学1年の女児2人が殺害された事件で死刑が確定、昨年10月に執行された久間三千年(みちとし)元死刑囚=執行時(70)=の弁護団は2日、大分市内で会議を開き、年内にも死後再審を請求する方針を確認した。
久間元死刑囚が一貫して無罪を訴えた同事件で当時、有力な証拠とされたのは、6月に再審開始が決まった「足利事件」と同じ方法のDNA鑑定。弁護団は死後再審の新証拠の1つとして「元死刑囚の妻子のDNA鑑定を実施するなどして、当時の鑑定の誤りを立証したい」としている。
2女児殺害事件で、女児の遺体に付着した血痕と元死刑囚のDNA型が一致したとされる鑑定は、足利事件で精度の低さで誤りが明らかになった「MCT118」という方法だった。弁護団によると、2女児殺害事件の当時の試料は使い切られて再鑑定はできないものの、妻子のDNA鑑定を実施することで元死刑囚の型の一部を特定、当時の鑑定結果と比較して矛盾点を立証するという。
また当時「犯人」の血液型を元死刑囚と同じB型と特定した科学警察研究所(科警研)の鑑定結果について「真犯人はAB型の可能性もあった」として、法医学者などの協力を得て再実験を実施。また、有力な状況証拠とされた遺留品発見現場における車両の目撃証言の信憑性(しんぴょうせい)についても、再実験を行うという。
弁護団共同代表に就いた徳田靖之弁護士は「早い時期に再審請求していれば、こんなに早く執行されていなかったのではないかという思いがある。償いのためにも再審にたどりつきたい」と話した。会議には福岡、大分の弁護士計28人が参加。千野博之弁護士も共同代表に就いた。
=2009/07/03付 西日本新聞朝刊=