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「うれしくて眠れなかった」車いすの明花さん初登校

2009年7月3日15時0分

写真:母親の運転する車で中学校に到着し、校舎の窓からのぞく同級生らに手を振る谷口明花さん=3日午前、奈良県下市町、諫山卓弥撮影母親の運転する車で中学校に到着し、校舎の窓からのぞく同級生らに手を振る谷口明花さん=3日午前、奈良県下市町、諫山卓弥撮影

 車いすで生活を送る奈良県下市(しもいち)町の谷口明花(めいか)さん(12)は3日朝、入学を拒んでいた同町教育委員会が仮入学を認めたことを受け、約3カ月遅れて町立下市中学校に初登校した。セーラー服姿。少し緊張した面持ちだったが、「昨日はうれしくて一睡もできなかった」と笑顔を見せた。ホームルームで「私なりに頑張っていくのでよろしくお願いします」とあいさつし、同級生から大きな拍手を受けた。

 午前8時10分、校舎近くで母親の美保さん(45)が運転する車から降り、車いすでスロープを使って校内に入る様子を、在校生が校舎の窓から身を乗り出し見守った。

 登校が前日に急に決まったためスカートは購入が間に合わず、同級生が冬用を貸してくれた。

 受け入れにあたり、町教委と県教委は、これまで下市中になかった肢体不自由児の特別支援学級を1階に設置。入学を拒否されていた間、自宅で明花さんに勉強を教えていた県立養護学校の女性講師(23)をそのまま配置した。

 下市中によると、明花さんは交流学習時やホームルームでは普通学級の1年A組に参加する。ただ、他生徒と履修状況に差があるとみられるため、1学期中は支援学級での個別学習が中心。明花さんが階段を上り下りする際に必要な介助員2人が集まっておらず、4階の普通学級へ移動する場合は、職員が背負うという。この日は支援学級でこれまでの自宅での履修状況を報告、給食も食べた。6時間目終了後に1年A組のホームルームに加わった。

 町教委は明花さんの仮入学を認めるよう義務づけた奈良地裁の決定を不服として、1日付で大阪高裁に即時抗告。高裁で逆転決定が出れば、入学を取り消す可能性も示唆しているが、この日は「一日も早く中学校生活に慣れ、他の生徒たちと落ち着いた学習活動が送れることを切望します」との談話を出した。(高橋友佳理)

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