引きこもりの社会復帰を支援する「レンタルお姉さん」の名称が、ポルノ映画のタイトルにそっくりそのまま流用されたとして、“お姉さん”を派遣するNPO法人が映画配給差し止めの仮処分申請を決定。1日会見したお姉さんたちは「誇りにしていた名前を地に落とした」と号泣した。
「レンタルお姉さん」は、引きこもりやニートを抱える親からの依頼を受け、20−30代が中心のお姉さんたちが手紙や電話、家庭訪問を通じて子供たちの心を開き、社会復帰を目指すというもの。NPO法人「ニュースタート事務局」(千葉県市川市)が1998年から訪問活動を開始。2007年にはNHKドラマ「スロースタート」で水野美紀(35)がお姉さん役を演じ、今月には「レンタルお姉さん物語」(比古地朔弥著、扶桑社)で漫画化されるなど、注目されている。
だが先月、都内の劇場で「レンタルお姉さん 欲望家政婦」(姫川りな主演)が上映されていると事務局に連絡があり、ポルノ映画のタイトルとして使われていることが発覚した。
映画は06年11月公開。配給元の新日本映像サイトによると「そんじょそこらの家政婦さんとは一味も二味も違う」という「スーパー家政婦」が掃除、洗濯はもちろん、下半身の世話までこなすストーリーで、本物とはまったく関係ない内容。
事務局側弁護士によると「レンタルお姉さん」の名称は06年5月に商標を出願し、07年11月に登録された。それ以前に複数のメディアで紹介されており、「名称は周知されている」という。そのため、来週中にも東京地裁に配給差し止めの仮処分を申し立てる。上映中の映画館やネット配信、DVD化は「確認できていない」としている。
1日午後、都内で会見したレンタルお姉さんの吉田寛子さん(26)は「私は中学時代にひきこもりとなり、絶望の中に生きる気持ちは当事者としてよくわかる」と自らの過去を明かしたうえで「実際の活動とは、かけ離れたイメージで憤りを感じる。レンタルお姉さんの名を地に落とした」と訴え、号泣した。
大栗彩子さん(30)も「活動は大変だが、誇りを持っている。このような使われ方をされると支援ができなくなる」と話した。
新日本映像は「(仮処分申請は)今、初めて聞いた。詳しいことがわからないのでコメントできない」と話している。