2009年07月02日

[シリーズ・オヤジの悪口]オヤジの話は長いのです…(改訂版)


7b941aa0.jpg


自分は物心がついた頃から常にオヤジと2人だけで生活してきた思い出しかありません。映画「クレイマー・クレイマー」のように何をするのもオヤジと一緒でした。
長年一緒にいると、オヤジに共感したり尊敬心を抱くこともあれば、逆に不満や反発心もいろいろ出てくるものです。正直いえば中学生にもなると内心はオヤジへの反発だらけでいつもオヤジに対してウザったく思っていたものです。
しかし昔のオヤジはとても怖い存在だったので不満を漏らすことなど到底できませんでした。少しでも言い訳をしたりふて腐れた顔を見せただけで何発も顔面パンチで殴られました。そんなときは必ず蹴りも出て、あまりの痛さに2、3日歩けないほどでした。

そんな自分もすでに20歳を迎えました。今は何とか直接オヤジに不満をいえるようになりました。でも、ときには「うるさい」のひとことで相手にされないこともあるし、下手をするとオヤジが得意にしている故・芦原英幸師範から直伝として授かったサバキ(裏サバキ)で頸椎を決められてしまう恐れがあります。だから何でも好き放題、文句をいうわけにはいきません。

いつかオヤジへの不満をぶちまけたい! そんな不謹慎ながらも欲望に飢えた日々を過ごしてきたら…閃きました!
このブログでオヤジへの積り積もった不満と反発を吐き出してしまえばいいのです。オヤジがこのブログを読むのは間違いありませんが、ブログを始めるにあたって自分はオヤジと約束しました。互いのブログには干渉しないという約束です。ならば少しは許されるでしょう。
決まりです。
というわけで今日からこのブログでオヤジの「悪口」をシリーズ化していきたいと思います。

第1回目はウチにいるときのオヤジについて、とにかく話がやたら長い件について暴露してみます。
オヤジの話は何に関してもやたらと長い!
話出すとなかなか終わりません。幹から枝に流れ、小枝までいったと思うとまた違う枝に渡ってなかなか幹に戻りません。これは苦痛です! オヤジの異常な長話についてはオヤジの会社のスタッフや某会の人たちならばみんな頷いてくれると思います。
仕事の話や、自分が何かミスをして叱咤・説教されるときは長くなっても仕方がないと諦めています。ところがプライベートな話やほとんど意味のない世間話をしていても、話題が何かオヤジの琴線に触れようものならば、オヤジの話は半永久的に! そんな錯覚に陥るほどなかなか終わらないのです。

先日もこんなことがありました。
稽古の帰り道、東京では少し名が知られている肉まんとシュウマイ専門店で自分はその肉まんとシュウマイをたくさん買いました。それも自分の小遣い銭でです。肉まんもシュウマイもオヤジの大好物です。自分はきっと喜んでもらえると勝手に想像してました。
帰宅して、それらを夕食代わりにオヤジと一緒に食べ始めました。すると肉まんをひとくち食べたオヤジが突然口を開きました。当然、自分は「美味しい!!」という言葉を期待しました。
ところが…。
オヤジは言いました。
「あんまり大したことないよなぁ、これだったら大阪でチェーン展開してる蓬来(ホウライ)の豚まんのほうがずっと美味いよ」




ガクッ!としました。でも本来ならばここで話が終わってもいいはずです。しかしオヤジは続きます。
「そういや昔々の話だけど、大阪に行く度、ヨーコに連れられていろんなとこに行ったもんだよ。帰りは必ず蓬来に寄って豚まんを買っていくんだ。大阪といえば自由軒のインディアンカレーは驚くほど不味かったけどアメリカ村のたこ焼きはまあまあだったかな。何にしても大阪は食い物が安いのがいいなあ。でもなあ、とにかく大阪でも東京でも飯を食う場所はヨーコが決めてたんよ。飯だけじゃない、どこに行くかという根本的な選択権でさえ俺にはなかったんだぜ。店に入っても俺にはメニューを手にすることもできない、あらゆる選択権ヨーコにあってさ。威張ってたからなあ、アイツ。もっとも俺は強いオンナが好きだからしょうがねえけどさ。あぁ懐かしいなぁ…」
いつのまにか肉まんから遥か昔のオヤジのガールフレンド、ヨーコさんの話題に変化してしまいました。そして当時のヨーコさんとの思い出話だけでも軽く30分以上、休みなしで話し続けました。
それでやっと話が終わるのかと思ったら、今度は大阪の地理について話出す始末です。ミナミがどうたら御堂筋が云々とか天王寺や平野はヤクザが多いなんたら…、地理の講義は延々に続くのです!

この時点でとっくに夕飯は食べ終わっています。しかしオヤジの話は全然終わる気配がありません。自分はすでにウンザリしていて、可能ならばオヤジの話を右から左に受け流してただひたすら相づちを打ちたいのですがそうは行きません。
なぜなら話の途中途中でいきなりオヤジは自分に「どうよ!?」「なぁどう思う?」と訊いてくるからです。
これはかつて芦原英幸師範の口癖だったようです。芦原師範もオヤジもともに血液型は自己中で個人主義のB型! オヤジは生前の芦原師範と東京ではいつも一緒にいたので芦原師範の口癖がオヤジに移ったのでしょう。
「なぁ、どうよ!?」
そう訊かれるたびに自分は何かしら答えなくてはなりません。ボーッとしていて答えられないと鉄拳制裁が待っています。自分は本当にウンザリしながらもそんな気配を見せないように努めて積極的に興味があるように言葉を返します。
すると満足したように再びオヤジは勝手に話し続けるのです。

その後、話題は天王寺や平野は物騒だということから天王寺駅の立ち食いウドンが絶品で大阪の立ち食いウドンは東京の立ち食い蕎麦より何杯も美味くて当たりハズレがないとか、「でも、やっぱりウドンならば香川の讃岐とかいうけん、大阪が一番だぜ…」
肉まんの話題からヨーコさん、大阪地理講義、挙げ句に立ち食いウドンの東西比較…あっという間に1時間半以上もオヤジの話は続きました。
そして突然、オヤジはこういって話を締めるのです。
「だからな、話は戻るけど俺が言いたいのは要はこの肉まんは大して美味くないということだよ。よし、風呂入ろ」
結果的に話は巡りめぐって突然最初の話題に戻ってきたというわけです。
ドッと疲れ切りました。


(続く)



gokuakunin15mei at 11:48 │この記事をクリップ!オヤジと自分