環境省が全国6カ所で実施した08年度の石綿健康リスク調査の結果が、同省の検討委員会で発表された。法改正のための基礎調査だが、結果をどう生かすかが全く示されず、「被害の原因究明や救済制度向上につながる」と期待する被害者たちは、傍聴席でがっくり肩を落としていた。
自治体から選ばれた検討委員で、調査方法や方向性に意見したのは唯一、横浜市職員だけ。「こんな調査ではきちんとした行政サービスができない」と、同省に厳しく注文を付けていた。
単に国の委託調査をするだけでなく、現場の実態を伝えるのが自治体の役目のはず。国に何一つ物申せないとは情けないぞ、奈良県。(泉谷)
毎日新聞 2009年6月26日 地方版