【テヘラン春日孝之】イラン大統領選を巡る不正開票疑惑に抗議する改革派の集会が28日、テヘラン北部のモスク(イスラム礼拝所)近くであり、参加した約3000人と治安部隊が衝突した。AP通信が目撃者の証言として伝えた。抗議デモは24日に、国会前に集結して治安部隊に強制排除されて以来4日ぶり。
それによると、一部参加者が「私の投票はどこに?」などと唱和して抗議。警官隊が催涙ガスを発射したり、警棒で殴るなどして強制排除したという。負傷者もいたという。
集会はイスラム革命(79年)功労者の一人で81年の爆弾テロで暗殺された聖職者ベヘシティ師を追悼するため毎年開催されているといい、これを名目に集結した可能性がある。内務省の許可があったかどうかは不明。現地では改革派ムサビ元首相の側近がハンドマイクで演説した。改革派カルビ元国会議長が姿を見せたという。
テヘランでは毎晩10時から改革派支持者が自宅の屋上やベランダなどから一斉に「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」「独裁者に死を」「ハメネイに死を」などと叫び、抗議の意思表示を続けてきた。だが、数日前に治安関係者が「(唱和すると)半年間投獄する」と警告して回ったことで鳴りを潜め、表立った抗議の動きはなかった。
国営メディアによると、選挙開票以来の一連の衝突で、これまでに少なくとも改革派支持者らの少なくとも17人、治安部隊側の民兵組織バシジの8人がそれぞれ死亡した。パリに本拠を置く非政府団体「イラン人権擁護戦線」によると、2000人以上が逮捕されたという。
毎日新聞 2009年6月29日 10時38分(最終更新 6月29日 11時58分)