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金総書記重病説:第7師団視察にまつわるミステリー(下)

 金副局長ほどの高官なら随行者名簿の発表に常に含まれるのが、北朝鮮での報道慣行だ。

 さらに、14日に公開された写真の中で金総書記が冬用の防寒着を着ている点は「極めておかしい」(大統領府当局者)と分析されている。情報当局によると、2000年以降に公開された金総書記の写真では、5月初めに撮ったものでも防寒着を着ている場面は全く見られないという。その上、今年5月24日に金総書記が咸鏡北道延社地区の革命戦跡地を視察した場面として北朝鮮が公開した写真にでは、金総書記は長袖の人民服だけを着ていた。6月の写真に比べ高緯度の地方(咸鏡北道)で撮られ、季節的にももっと寒かった可能性が高い時期なのにもかかわらず、5月の写真の金総書記は6月の写真よりも薄着をしている。そのため5月の写真は、「6月の写真が4月の写真の使いまわしだという可能性を高めるもの」(政府関係者)と説明されている。

 情報消息通によると、「金総書記が6月に向かった第7歩兵師団と4月に向かった第851部隊(歩兵部隊と推定)は、いずれも江原道安辺郡に駐屯する部隊だ」という。「金総書記が二つの部隊を同じ時期に訪問し、同じ場所でそれぞれ写真を撮った後、報道の日付だけを別にしたか、あるいはそもそも6月には行ってもいないのに行ったように報じ、4月の写真を証拠として“でっち上げ”て使ったと見ることができる」というわけだ。しかし別の政府関係者は、「情報当局の別のラインからは、これらの写真のでっち上げ疑惑について懐疑的な反応も出ている。金総書記の動向を追加で詳しくチェックした後、最終判断を下す」と語った。

 情報当局は最近、金総書記が江原道元山の海岸「特閣(別荘)」に比較的長期間滞在していたと判断した。北朝鮮が報じた金総書記の6月の動きも、元山からそう遠くない咸鏡南道端川、咸州、江原道高山などだ。国策研究所に勤める元脱北者の研究員は、「金正日総書記は暑さに弱い体質だといわれている。昨年8月に倒れたのも、6-7月に無理をしたことと関係があるだけに、今年の夏はできる限り休もうとするだろう」と語った。

 しかし統一部は、金総書記が今年現地指導を行った回数は77回に上り、昨年の同じ時期の50回よりも増えている、と発表した。京畿大の南柱洪(ナム・ジュホン)教授は、「北朝鮮が金総書記の健在ぶりを誇示するために過去の写真を使いまわしするほどなら、それだけ体制が不安定だという証拠になる」と語った。

 金総書記は、米朝間の緊張が増したときには前方部隊を訪問し、「対米抗戦の意志」を明らかにするという。今回も、北朝鮮が国連安全保障理事会による対北朝鮮制裁決議に対抗し「ウラン濃縮着手」を発表した今月14日に、「第7師団は米帝をはじめとする帝国主義連合勢力を退ける祖国解放戦線(朝鮮戦争)の勝利で勇名をはせた部隊だ」と報じた。そこから、「写真の使いまわしは緊張した雰囲気を作り上げるための苦肉の策」(北朝鮮消息通)という見解も出てくる。政府中枢のある当局者は、「金総書記の健康に再び異常が生じたという情報はない。しかし、高齢に加え脳血管に問題を抱えているだけに、常に注視している」と語った。

朱庸中(チュ・ヨンジュン)記者

安勇炫(アン・ヨンヒョン)記者

【ニュース特集】金総書記重病説

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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