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架空手術を「なんちゃって」と名付け、水増し請求 奈良

2009年6月28日13時30分

 診療報酬を不正に受給したとして、奈良県警の家宅捜索を受けた医療法人雄山会「山本病院」(同県大和郡山市)が毎月、20件超の狭心症などの心臓カテーテル手術のノルマを決めていたことが捜査関係者への取材でわかった。達成できなかった場合、「心臓の血管を広げる金属製の筒・ステントを入れるカテーテル手術をした」と偽った診療報酬明細書(レセプト)を提出していた疑いがあり、病院内の隠語で「なんちゃってステント」と呼んでいたという。

 捜査関係者によると、複数の病院関係者が県警に「診療報酬の月額受給目標があった」と証言した。月20件超の心臓カテーテル手術のノルマが達成できなかった場合などに、ステントを心臓の血管に挿入したように装って診療報酬を請求。こうした不正請求を看護師、事務職員らは「なんちゃってステント」と名づけ、カルテの右上に架空手術を意味する黒い印を付けるよう申し送っていたという。

 ステント挿入手術は80万円ほどとされ、生活保護受給者は全額が公費負担となる。県警は、ステントの挿入手術をしたとされる患者に対し、CT検査などで体内のステントの有無を確かめ、手術が実際にあったか調べている。

 捜査関係者によると、家宅捜索容疑は05〜06年、生活保護受給者の患者数人のステント挿入手術をめぐって、計百数十万円の診療報酬をだまし取ったとする詐欺容疑。これらの患者のエックス線写真を確認したところ、ステントが見つからなかったという。

 理事長の山本文夫医師(51)は県警の任意の事情聴取に対し、「ステントを挿入しようと手術を試みて、うまくいかなかったことはある」と説明しているという。

 山本病院(80床)は「心臓カテーテル専門病院」とうたい、心臓カテーテル手術を05年に275件、06年に196件、07年に275件それぞれ実施したと近畿厚生局奈良事務所に届け出ていた。

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