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イラン:「政治制裁を」ノーベル平和賞エバディさん

毎日新聞のインタビューに答えるシリン・エバディさん=ブリュッセルで、福島良典撮影
毎日新聞のインタビューに答えるシリン・エバディさん=ブリュッセルで、福島良典撮影

 【ブリュッセル福島良典】イランの女性人権活動家でノーベル平和賞受賞者のシリン・エバディさん(62)は23日、ブリュッセルで毎日新聞などのインタビューに応じ、欧州連合(EU)など国際社会に対して、デモ隊を弾圧するイラン政府との外交関係を格下げし、対話を凍結する「政治制裁」を科すよう求めた。イラン大統領選挙の結果に抗議するデモ隊と治安部隊の衝突について「最後は市民が勝利する」と強調した。

 エバディさんは「抗議行動の根は選挙問題よりも深い。人権侵害、女性差別、宗教差別、部族差別、検閲に加え、高失業率で人々は貧しくなっており、不満を募らせている」と指摘した。その上で、「デモ隊の主要グループの一つは女性たちだ。(1979年のイスラム)革命以来、女性に差別的な法律が多数できたためだ」と抗議デモにおける女性の役割を強調した。

 また、政府が武力でデモ隊を封じ込められるのは「短期間だけだ」と指摘し、「国民を殺してしまうことはできず、最後には人々が勝利する」との見通しを示した。抗議行動がイランの体制変更につながるかどうかについては「将来、何が起きるかを分析するのは時期尚早だ。国民が今、欲しているのは再選挙であり、他の要求は出てきた時に論議することになる」と述べるにとどめた。

 国際社会に対しては「平和的な抗議運動がいかに武力と暴力で応じられているか、イランから届く映像を見てほしい」と訴えた。経済制裁には「苦しむのは常に国民だ」と反対しながらも、「暴力が続く限り、欧州諸国はイランと交渉したり、会合を持つべきではない」と語り、EU加盟国に駐イラン大使を召還し、外交関係を代理大使レベルに下げるよう促した。

 エバディさんは22日から23日にかけブリュッセルでEUのソラナ共通外交・安全保障上級代表、加盟27カ国大使、フェレロワルトナー欧州委員(対外関係担当)と会談した。

毎日新聞 2009年6月24日 11時29分(最終更新 6月24日 11時33分)

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