甲府市の男性職員が市民から返還された生活保護費を着服していた問題で、宮島雅展市長は22日、記者会見を開き、この職員を同日付で懲戒免職処分にしたことを発表した。
宮島市長は「行政に対する信用を根底から覆す行為で許せない。市民や関係者に多大な迷惑をおかけした」と陳謝した。
市の発表によると、懲戒免職となったのは廃棄物対策室収集課の堀内秀一係長(43)。生活福祉課に勤務していた06年6月、60歳代の生活保護費受給者の女性から生活保護費の返還金約130万円を預かり、そのまま私的に流用したという。
今年6月8日に後任の職員が女性宅を訪れた際、堀内係長の私印が押された「預かり書」が見つかり発覚した。堀内係長は「知人の借金の連帯保証人となり、その返済のためにやってしまった」と着服を認め、「自分の心の弱さで公金に手をつけてしまい誠に申し訳ない」と謝罪しているという。15日に全額を市に返還した。
生活保護費は、受給者が一定の収入を得た場合、市と国に返還することになっている。女性は年金の受給資格があったが、申請をしていなかった。これを知った堀内係長が、年金を受給するよう持ちかけたという。着服した約130万円は、約3年分の年金に相当する額。
市は今後、再発防止策を検討するほか、過去にさかのぼって調査を行い、市長や当時の上司の処分や、堀内係長の刑事告訴などについて検討していくとしている。【水脇友輔】
毎日新聞 2009年6月23日 地方版