ニューヨーク(CNN) 今年1月、ニューヨークのハドソン川に不時着したUSエアウェイズ機の乗客が、いまだに事故の恐怖から立ち直れないとして、心理療法の費用を負担して欲しいと同航空に求めている。
この事故はUSエアウェイズ1549便が離陸から間もなくエンジン停止し、機長のとっさの判断でハドソン川に不時着、乗員・乗客全員が奇跡的に無事救出された。テス・ソーサさんと娘のソフィアちゃん(4つ)は同機に乗客として乗っていた。
不時着後、みるみる水かさが増してくる機内で、ソーサさんは乳児のダミアンちゃんを抱え、座席をよじ上って脱出しようとしていた。後ろを振り返ると夫のマーティンさんがソフィアちゃんを連れ、呆然と座っている姿が見えた。「機体がこのまま川に沈めば死ぬかもしれないと思った」とソーサさんは振り返る。
事故後も心的外傷が癒えず、カウンセリングに通ったが、USエアウェイズが負担したのは3回分のみで、残りは全額自己負担だったという。ソーサさんは「(USエアウェイズが)手荷物をすべて回収し、乾かして返してくれた対応は大いに評価する。しかしそうした対応に追われ、乗客のことに十分気が回っていない」と不満を漏らす。
USエアウェイズと契約している保険会社のAIUは、同航空は事故の責任がないにもかかわらず、必要以上のことをやっていると強調。事故機の乗客には5000ドルを支払っており、それ以上は法律上の責任がないため負担できないと説明した。
ソーサさんの元には心理療法の費用として、また新たに1000ドルの請求が届いた。特にソフィアちゃんは今でも心の傷が癒えておらず、まだ助けが必要だとソーサさんは話している。