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迂回献金:オリエント貿易の2団体、大口は商工族議員 総額3億1000万円

 ◇00~07年

 商品先物取引会社「オリエント貿易」などグループ5社の迂回(うかい)献金問題で、政治資金規正法で資金管理団体への企業献金が禁止された00年から07年の間に、グループの二つの政治団体から与野党国会議員数十人に総額約3億1000万円が献金されていたことが分かった。商品先物取引の監督官庁は経済産業省(旧通商産業省)と農林水産省で、大口の献金先は元通産官僚など商工族の国会議員が多い。5社のうち1社は農水官僚の天下りを受け入れ、族議員や官僚に取り入るグループの実態が浮き彫りになった。【山本太一、伊澤拓也】

 オ社などは98年、政治団体「平成の会」(下山弥寿男代表)を設立、資金管理団体への企業献金が禁止された00年以降は「政経政策研究会」(政経会、加藤幸男代表)との2ルートを使った迂回献金が顕著になった。

 政治資金収支報告書などによると、政経会は00~05年、毎年約1000万~3000万円を数人の国会議員に献金。平成の会もパーティー券購入などで約2200万~3800万円を毎年数十人の国会議員に献金している。06年以降、5社の幹部社員らの給与から天引きされた寄付は徐々に減ったが、2団体はこれまで集めた資金から献金を続けていた。

 00~05年で最も献金が多いのは与謝野馨財務・金融・経済財政担当相で3770万円。次いで自民党の▽吉村剛太郎参院議員3250万円▽町村信孝前官房長官834万円▽中山成彬前国土交通相580万円--など。野党では国民新党の亀井静香代表代行が1320万円を受け取っていた。吉村氏は02~05年、政経会から献金以外に計1200万円を借りていた。

 町村氏は元通産官僚で、中山氏は通産政務次官、副経済産業相を歴任。吉村氏は98年、商品先物取引について定めた商品取引所法の改正案を審議した参院経済・産業委の委員長や、自民党商工部会部会長を務めた。

 毎日新聞の取材に町村事務所は「政治団体について事実関係を知る立場にない」、亀井事務所は「政治資金規正法にのっとり収支報告書に記載している。献金の原資は知る由もない」と文書で回答した。吉村、中山氏からは回答がなかった。

 また、グループの「東京コムウェル」(1月に自主廃業)には00~07年、商品先物取引を担当していた旧商業課長も務めた農水官僚が監査役として天下っていた。監査役は「私は役所から来たので、会社のことはよく分からない」と話している。

 ◇顧客とトラブル絶えず

 信用調査会社などによると、グループは▽オ社(東京都新宿区)▽東京コムウェル(豊島区)▽朝日ユニバーサル貿易(大阪市)▽サンワード貿易(札幌市)▽日本ロビー・インダストリアル(新宿区)の5社。東京コムウェルの前身である「朝日物産」を70年ごろに加藤代表が買収、その後、加藤、下山両代表が4社を買収・設立してグループを形成した。05年ごろまでは2人が5社の大株主として経営参画していた。

 商品先物取引は投機性が高いため、顧客とのトラブルが絶えず、訴訟に発展することも度々あった。オ社は07年9~11月、トラブルの頻発や隠ぺいで、経産・農水省から営業停止処分を受けている。

 05年に加藤代表がオ社株を売却して以降、2社が経営破綻(はたん)し、現在は事実上、グループは解消している。

毎日新聞 2009年6月27日 東京朝刊

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