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セブン-イレブン:廃棄損失負担 コンビニ、体力勝負へ 迫られる加盟店支援

 セブン-イレブン・ジャパンが、食品廃棄で加盟店に生じる損失の一部負担を決めたことで、他のコンビニ各社も加盟店支援策の検討を迫られそうだ。競争が激化する中、加盟店だけに負担を強いて本部が好業績を上げる仕組みは限界に近づいているためだが、加盟店支援の拡充は各社間の体力格差をさらに広げる可能性もある。【秋本裕子、内橋寿明】

 コンビニ各社と加盟店の契約では、弁当などの商品発注は加盟店の判断で行い、売れ残りの廃棄に伴う損失は加盟店が全額負担する。廃棄損失は加盟店には重荷で、公正取引委員会が22日、セブンによる値引き販売制限に排除命令を出したことを受け、廃棄損失を少なくするための値引き販売が一気に広がることも予想される。今回の支援策には、値引き販売を防ぐ狙いもあるとみられる。

 加盟店が廃棄損失を少なくするには、発注量を減らす方法もあるが、加盟店が発注量を減らせば売り切れが続出し、「便利さ」を売りにしたコンビニの事業モデルが崩れかねない。井阪隆一社長は23日の会見で「加盟店と協力し『拡大均衡』につなげる」と語った。

 大量の食品廃棄への批判も強いが、廃棄損失も売り切れもなくすような発注量の適正化は「すぐにはできない」(井阪社長)。廃棄損失削減のための値引き販売だけが拡大することは避けたいのが、本部側の本音だ。

 だが、関東地方のセブン加盟店主は「15%程度の負担軽減では値引き販売は抑えられない」と冷ややか。23日発足した「セブンイレブン加盟店ユニオン東日本地区」の支部長に就いた八王子南口店オーナーの増田敏郎さん(60)は「(本部の)負担割合が不十分。見切り販売を抑えようとする狙いを感じる」と、支援策を批判した。

 ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスなどは「加盟店からのデータをもとに発注精度を上げる努力を継続していく」と説明、新たな支援は「現時点で具体的な検討はしていない」と話す。ただ、加盟店側から支援拡充を求める声が強まるのは確実で、セブンほどの経営体力がないコンビニ各社は難しい対応を迫られそうだ。

毎日新聞 2009年6月24日 東京朝刊

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