国立循環器病センター(国循、大阪府吹田市)で治験(臨床試験)中の補助人工心臓を装着した男性(当時18歳)が07年春に心肺停止になり、約1年後に死亡した問題で、外部委員らで作る調査委員会(委員長・上田裕一名古屋大大学院教授)は26日、報告書を公表した。男性が意識不明となった後、治験継続のための同意書に母親が署名する際、「納得できない」などと欄外に記入したことが、十分な説明に基づく同意と言えるかどうかが焦点の一つだったが、報告書は「自由意思による自己決定を促すに足りるだけの十分な説明がなされていない」と指摘した。
報告書などによると、男性は全身に十分な血液を送り出せなくなる拡張型心筋症のため、国循に入院。医師らから説明を受け補助人工心臓「エバハート」の治験に参加した。【野田武】
毎日新聞 2009年6月27日 東京朝刊