2009年6月26日12時57分
希望した地元の公立中学への進学を拒否された車いすの谷口明花(めいか)さん(12)=奈良県下市(しもいち)町=と両親が、町と町教育委員会に入学を認めるよう求めた訴訟で、奈良地裁は26日、町教委に入学を義務づける仮決定を出した。少女側の代理人の児玉修一弁護士が会見で明らかにした。明花さんは7月からの通学を希望しているという。
決定によると、一谷好文裁判長は、健常者と障害者との共同学習の推進などをうたった衆参両院の付帯決議などを引用したうえで、町教委の入学拒否について「慎重に判断したとは認めがたく、著しく妥当性を欠き、裁量権を逸脱または乱用したものとして違法である」などと批判。そのうえで、町教委に対し、少女側が望んでいる町立下市中学校への仮の入学許可を出すよう命じた。
明花さんと両親は4月下旬、町教委などに「入学を認めないのは裁量権を逸脱して違法」として提訴するとともに、判決が出るまで町教委に入学を認めるよう求めていた。
明花さんの父親は「裁判所に迅速に審理していただき、心より感謝している」と話した。父親によると、決定を携帯電話で伝えられた明花さんは「ありがとう」と喜んだという。下市町教委は「決定を真摯(しんし)に受けとめるが、今後の対応については弁護士と慎重に協議したい」との談話を出した。
明花さんは地元の小学校に通い、下市中学校への進学を強く望んだが、町教委の就学指導委員会は「中学には階段が多く、命の保証ができない」として、県立養護学校への進学を答申。明花さんは養護学校に登校せず、自宅で県教委が派遣する同校講師の指導で学んでいた。