県と日本産婦人科医会県支部は25日までに、妊婦の救急搬送時に受け入れ先の医療機関を調整する「周産期救急搬送コーディネーター事業」を7月中旬から運用開始することを決めた。事業費は1500万円。東北大病院(仙台市青葉区)と仙台赤十字病院(同太白区)に産婦人科医らを24時間配備し、受け入れの可否や症状などに基づき、迅速な搬送先決定を目指す。
周産期の救急搬送体制を巡っては、深刻な産婦人科医不足を背景に、奈良県や東京都などで妊婦が複数の病院から受け入れを断られ死亡する事例が発生。
県内でも、医師不足に伴い1人の産婦人科医が扱う年間分娩(ぶんべん)件数は99年の126件から06年には146件に増加している。今も医師不足は改善されず、緊急時に搬送先の医療機関を探す負担の重さが指摘されていた。
事業は、コーディネーターが毎日朝夕の2回、「県周産期ネットワーク」に参加する12医療機関に対し、受け入れの可否を確認して症状に応じて振り分ける仕組み。
診療所などが調整を要請する場合、平日昼間は東北大病院に連絡。平日夜間と休日は、分娩後と胎児死亡時には東北大病院に、胎児生存と切迫早産時は赤十字病院に優先的に連絡する。ただ、緊急でない場合や、母体の命にかかわる重篤な症状の場合には、コーディネーターを通さないことも可能としている。【伊藤絵理子】
毎日新聞 2009年6月26日 地方版