商品先物取引会社「オリエント貿易」などグループ5社の迂回(うかい)献金問題で、与謝野馨財務・金融・経済財政担当相側が、グループの別の政治団体「平成の会」からも、設立時の98年から04年まで計1590万円の政治献金を受けていたことが分かった。団体代表は「資金管理団体への企業献金が禁止されるので政治団体を作った」と改正政治資金規正法対策だったことを認めており、オ社などが二つの政治団体をダミーに違法な企業献金をしていた疑いが強まった。
平成の会はグループ会長の下山弥寿男氏を代表に98年に設立。グループの政治団体「政経政策研究会」(政経会)と同様、5社の役員約60人の給与から月1万5000~3万円を天引きし年約3000万円を集め献金した。
与謝野氏の資金管理団体「駿山会」は95~98年、グループの4社に年120万~160万円のパーティー券を売っていた。ところが99年からは徐々に減り、代わって平成の会から駿山会などに年60万~650万円が献金されるようになった。2団体からの献金は総額1億円を超える。
政経会から献金を受けていた渡辺喜美元行政改革担当相側も99~05年、平成の会から計400万円のパーティー券収入があった。
平成の会設立から08年まで小林興起前衆院議員(自民党のちに離党)が、08年途中からは小林氏の元秘書の秋元司参院議員(自民党)が後援団体として東京都選管に届け出ていた。政経会と同様、寄付をした役員は寄付金控除の対象となっていた。平成の会は00~07年、小林氏側に計240万円、05~07年には秋元氏側に計50万円を献金。小林氏側は政経会からも02~03年、200万円の献金を受けていた。下山氏は平成の会設立について「法改正前に対策が必要だった。政経会代表に相談して政治団体を作った」と説明した。95年施行の改正政治資金規正法で、資金管理団体への企業献金は00年から禁止された。
平成の会からの献金について、与謝野氏の秘書は「下山さん個人の会という認識で、何か依頼されたことはない」と話した。渡辺氏の事務所は「支援を賜っている数多くの個人や団体の一つ」と回答した。小林、秋元両氏の事務所は毎日新聞の取材に回答しなかった。【杉本修作、長野宏美】
毎日新聞 2009年6月26日 2時30分