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「いのしし課」被害逆手に肉販売 佐賀・武雄市が猛進中

2009年1月29日2時12分

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 農作物のイノシシ被害が深刻な佐賀県武雄市が4月をめどに「いのしし課」(仮称)を新設する。駆除したイノシシ肉はブランド化して都会に売り込む狙い。うまい具合に「一石二猪(いっせきにちょ)」といくかどうか。同じ被害に悩まされている他の自治体から注目されそうだ。

 武雄市の被害は、06年度が山間部を中心に水稲と大豆で1570万円、07年度が水稲で463万円。人の被害はないが、夜になると車と衝突したり、市街地近くまで出てきたりする。市は毎年7〜10月を駆除期間にして地元猟友会に駆除を依頼しており、期間中、06年度は1411頭、07年度は797頭を駆除した。

 今年度は1頭6千円の捕獲報奨金を895頭分、予算化したが、駆除は1541頭に上り、猟友会から追加要請が出ているという。報奨金が出ない11月〜翌年3月の狩猟期間にもほぼ同数が駆除されており、人口約5万人の市に約3万頭のイノシシが生息していると推測されている。

 毎年の被害に困り果てた市が考えついたのがイノシシ肉を特産品にし、ブランドに育て上げる手だ。昨年4月、レモンの香りのするハーブレモングラスを市の特産品にしようとレモングラス課を新設した際に「いのしし係」を設置。レモングラスの販路を利用して、東京、大阪など大都市圏への売り込み策を探ってきた。いのしし係と、これまで駆除を担当してきた農林商工課農政係の一部を今春統合し、「いのしし課」を新設する方針だ。

 「武雄地域有害鳥獣等加工処理組合」(渕辰弘組合長)は国と市の補助を受け、総事業費2千万円で同市山内町鳥海に武雄地域鳥獣食肉加工センター「CHOTOTU―MOUSIN」(猪突猛進(ちょとつもうしん))を建設している。約50平方メートルに処理室や包装室などを備え、年約200頭を処理できる。3月から試験稼働する計画で、駆除されたイノシシの肉を1キロ約千円で買い上げる予定だ。(市野功)

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