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パンくん「人まねさせすぎ」 動物園が勧告受け協会退会

2009年6月24日13時1分

写真:服を着て竹馬に乗るチンパンジーのパンくん=日本テレビ「天才!志村どうぶつ園」から服を着て竹馬に乗るチンパンジーのパンくん=日本テレビ「天才!志村どうぶつ園」から

 テレビ番組で人気のチンパンジー「パンくん」(雄、7歳)を飼育する熊本県阿蘇市の民間動物園「カドリー・ドミニオン」が日本動物園水族館協会(会長=小宮輝之・上野動物園長)の勧告を受け、協会を今年1月に退会していたことがわかった。

 パンくんは宮崎市フェニックス自然動物園で生まれ、04年に繁殖目的でカドリー・ドミニオンに移った。人のまねをした愛らしい表情が評判となり、園内のショーのほか、テレビ番組に頻繁に出演するようになった。

 服を着て、犬を散歩させたり、写真を撮影したりする芸が人気となったが、日本動物園水族館協会の倫理委員会は05年に「服を着せ芸をさせる擬人化は野生動物本来の個性や形態を誤解させ、繁殖活動にも支障が出る」とカドリー・ドミニオンに改善を勧告。しかし、改善がみられないとして、協会は08年11月、退会を勧告していた。

 協会事務局によると、動物園は89園が加盟。退会すると、園同士の動物の情報交換が難しくなることから、ほかの園からの動物の譲渡がしづらくなるという。チンパンジーはワシントン条約で商業取引が禁止され、国内でも「種の保存法」によって、繁殖や学術研究目的以外の譲渡を禁じている。

 カドリー・ドミニオンの上山栄二園長は朝日新聞の取材に「考え方が違い、自主退会した。最近のパンくんは時に疑似繁殖行動も見られるようになっている」と語った。パンくんが出演している「天才!志村どうぶつ園」を制作している日本テレビは「専門家やトレーナーと協議を重ねながら負担のないよう注意深く対応してきた。擬人化については、引き続き専門家に判断を仰ぎながら検討していきたい」(総合広報部)としている。(清水弟)

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