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最終更新日: 2008/10/01
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プロの仕事研究
世界中のバイク好きが憧れる『YZF-R1』を開発した、車体設計のプロ。
技術系−機械・機構設計
MC事業本部 商品開発統括部 第2ボディ設計部 設計グループ/車体設計
大隅 満純 (32歳) Masumi Osumi
入社5年目 / 名古屋工業大学 工学部 機械工学科 出身

プロフィール
自動車エンジン関連の設計業務を経験した後、大好きなオートバイの設計を志し、2004年にヤマハ発動機に入社。同社における女性設計士第1号となる。輸出市場向けスーパースポーツモデル『YZF-R1』06年〜09年モデルの車体設計に携わる。2007年8月から、ビッグスクーター『T-MAX』の車体設計を担当。

プロローグ
機械設計の仕事を目指して機械工学を専攻した大隅は、やがてオートバイや車の魅力を知り、自動車部品設計の道を選ぶことになった。だが設計業務の経験を重ねるにつれて、彼女の中で1つの思いが強くなっていく。「やっぱりオートバイの設計がしたい」。休日に趣味として楽しむオフロードバイクなどを通して、バイクをつくる側に立ちたくなったのだ。

ついに転職を決意した大隅は、オートバイ製造で知られるヤマハ発動機に入社する。設計部門での女性技術者の採用は大隅が初めてだった。「最初は小さなスクーターの設計から始めるんだろうな」と予想していた彼女だったが、予想に反して初仕事は『YZF-R1』06年モデルの車体設計。バイク好きが憧れるスーパースポーツモデルだ。入社早々大仕事を任された喜びとプレッシャーの中で、大隅は設計に打ち込み、なんとか完成にこぎ着けることができた。

初仕事を終えた充実感に浸るのも束の間、次の仕事は『YZF-R1』07年モデルの開発だった。06年モデルは開発終盤での参加だったが、今度は初期から本格的に設計に携わることになる。大隅は、さらなる期待と不安を感じていた。

憧れのスーパースポーツモデルへの初挑戦。 1
『YZF-R1』07年モデルの開発設計で、大隅が担当することになったのは、車体設計のうち、ステップ廻り、ハンドル廻り、コクピット廻り。開発当初から、大隅の前には大きな壁が待ち受けていた。07年モデルには、前モデルからの大きな変更点があったからだ。車体の剛性向上のため、排気管がより外側に出る構造となる。しかし一方で、足を乗せるステップなどライディングポジションは前モデルと変えずに進めることが決まっていた。その両条件が成り立つ設計をするのが大隅に任されたミッションだった。

大隅は困惑した。「排気管が出てスペースがないのに…」。ステップ廻りには足を置くブラケット、軸、リアブレーキもある。これをどうにかして限られた空間におさめなければならないのだ。「無理です。できません」と言いたい気持ちもあった。しかし『YZF-R1』はそれが許されないマシンだった。それは、ヤマハ発動機の技術力の証とも言える存在。そんな重要な仕事を任せてくれた期待に応えたかった。大隅は懸命に考え、なんとか必要なパーツを押し込んだ最初の設計を仕上げた。ところが、評価は厳しいものだった。「カッコ悪いな」。

半年悩み抜いた末に、降ってきたアイデア。 2
「カッコ悪い…」。大隅のこれまでのキャリアにはなかった言葉だった。以前に設計していた自動車部品は車体の奥に隠れるもので、性能を満たすことが第一条件。それがオートバイの車体設計では、性能はもちろんのこと、“見た目のカッコ良さ”も求められるのだ。それが大隅には新鮮でもあった。そして「乗れれば良いだろう」と安易に設計してしまった自分を恥じた。

それから大隅の苦悩が始まった。細かなレイアウトの見直しから入り、ペダルなどの形状も見直した。レギュレーション、操作性、様々な要素を満たさなければならない。「自動車の時とは逆に、形から入ってみよう」。発想の転換。バイク雑誌などを買い集め、「カッコ良い」と感じるデザインを見つけては、その内部に機能を入れることを考えた。試行錯誤の末に実験棟を回っては、全く違うカテゴリーのバイクまで観察してヒントを探した。気付けば時間が経つのも忘れて、車両の前にずっとしゃがみ込んで眺めていることもあった。

そうして半年ほどが過ぎたある日、彼女は不意に、自分の頭の中に何かが降ってくる感覚を覚えた。「そうか! 軸とペダルの位置を入れ替えれば良いんだ」。

第2の試練、限られたスペースに新しいパーツを入れる――。 3
大隅に訪れた突然のひらめきは、見事に形となった。パーツの位置を入れ替えることでスペースを確保でき、ステップ回りの問題点が解決した。しかし、ホッとするのも束の間、次の難題が大隅を待ち受けていた。設計が進み、実験を進めるうちに、試乗するライダーが「足が熱くなる」と言い出したのだ。

考えてみれば当然のことだった。排気管が外に張り出した分、乗る人間の足と近くなってしまい、熱さを感じる。この事態を防ぐには熱を発する部分をプロテクターで覆う必要があった。「もうステップ廻りにはスペースがないのに…」。大隅は頭を抱えた。

考えた末、ステップ廻りを工夫し、リアブレーキのリザーブタンクの位置をずらすことで、ある程度の余裕をつくることができた。しかし、加えて工程のことも考える必要があった。プロテクターで覆うということになれば、組み立て工程のパーツが増えることを意味する。大隅はあらゆるパーツの組み立て順も考慮して設計に取り組んだ。ところが今度は生産ラインから苦情が出てしまう。「これじゃ、プロテクターが大き過ぎてラインで組み立てられないよ」。

完成直前に訪れた最後の試練。 4
プロテクターの問題は、1年近く大隅を苦しませた。解決のきっかけになったのは、設計チームの同僚との会話だった。設計チームでは、行き詰まった時には雑談で気軽にアイデアを出し合う。それが解決につながることも少なくないのだ。「大き過ぎるなら半分に割ってみたらどうだ?」 その何気ない一言が手がかりになった。大隅は検討と工夫を繰り返し、分割したプロテクターを組み立てる設計にたどり着いた。

しかし完成まであと一息という頃、また思わぬ事態が発生した。プロテクターで覆ったことで車体内部の温度が上がり、シート下の電装品が高熱にさらされてしまうことが分かったのだ。「プロテクターに穴をあけて熱を逃がそう」。カッターで試作品に穴をあけて試し、型を修正する。風力テストで自ら試乗もした。ついに全てをクリアしたのは発売間近になった頃だった。

こうして完成した『YZF-R1』07年モデルは、バイクの国際的展覧会で話題となり、その姿はバイク雑誌の表紙を次々と飾った。その時初めて大隅の中に「ああ、自分はすごい仕事に加わっていたんだ」という大きな感動と喜びが湧いてきたのだった。

エピローグ
『YZF-R1』07年モデルの設計を経験して感じたのは、「自分の仕事が様々な人に支えられている」こと。設計チームの仲間だけではない。実験部門、生産部門の人々、良いマシンをつくるため自然に力を合わせる一体感がヤマハ発動機にはある。『YZF-R1』のイベントなどを通してマシンに愛着をもつ多くのお客様と接したことも大きな励みになった。

今、大隅が担当しているのは、ビッグスクーター『T-MAX』08年モデルの車体設計。新しい分野でまだ勉強することも多いが、R1開発で困難を乗り越えてきた経験が活かされている。

「今後はさらに設計の幅を広げ、ゆくゆくは女性が乗りやすいオートバイを設計するのが夢ですね」。
仕事ではスポーツバイクに打ち込み、休日はオフロードに熱中していると語る大隅。大好きなバイク三昧で毎日が充実している。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代にはソーラーカー部に所属し、様々なレースに参加した。自ら必要な部品を考えてゼロから図面を描き、製作からレース活動まで行った経験は、現在の仕事への取り組みのベースになっている。趣味で乗り続けているオフロードバイクも、オートバイに携わる仕事への思いをもち続ける支えにもなった。
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