生駒市の新病院設立問題で、同市議会は23日、市が提出した市立病院設置条例案を一部修正し、賛成多数で可決した。病院設置にゴーサインが出たことになり、山下真市長は「設立に向け大きな前進」と語った。しかし、計画に反対している医師会代表らを入れた諮問機関「病院事業推進委員会」の設置が盛り込まれており、今後も曲折が予想される。
市は7月中に第1回の推進委を開催し、今秋にも答申を得て、県に事前協議書を提出する方針。推進委での審議が必要となったため、12年秋を目指した開設は、順調に進んでも半年程度遅れる可能性がある。
条例案は、3月市議会から継続審査となっていた。可決された修正案では、市は推進委の答申を尊重して病院事業計画を作成するほか、指定管理者との協定締結についても諮問する。委員は10人以内で、県、生駒地区、生駒市の3医師会の各代表と市民、市議会の代表らで構成。人選に議会同意が必要としている。
質疑では「医師会が委員を出さなかったり、答申が引き延ばされれば計画が頓挫しかねない」などの質問が出たが、提案者の一人の樋口清士議員(民主・草創)が「議会もバックアップし、条例に沿って進めていく」と理解を求めた。一部議員は、医師会の参加にこだわらない別の修正案を提案していたが、取り下げた。
山下市長は「公立病院の運営を民間が担う不安をぬぐうため、枠組みが与えられたと理解している。不安材料はあるが、医師会も議会で(病院推進の)意思が明確になった状況を踏まえ対応してほしい」と述べた。【中村敦茂】
毎日新聞 2009年6月24日 地方版