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迂回献金:先物会社が与謝野氏、渡辺喜氏に ダミー通じ

オリエント貿易などの政治献金の流れ
オリエント貿易などの政治献金の流れ

 与謝野馨財務・金融・経済財政担当相と渡辺喜美元行政改革担当相が総務省に後援団体として届け出ていた政治団体が、商品先物取引会社「オリエント貿易」(東京都新宿区)などグループ5社が企業献金をするためのダミー団体だったことが分かった。団体は92~05年、与謝野氏側に計5530万円、95~05年、渡辺氏側に計3540万円を献金していた。後援団体への寄付者には所得税の一部が控除される優遇制度があり、5社は毎年幹部社員ら約250人の給与から計約4000万円を天引きして団体に寄付させ、控除を受けさせていた。

 ◇後援団体として届け出、寄付社員の税控除

 与謝野、渡辺両氏はいずれも金融担当相を務め、先物取引の規制問題にかかわった。後援団体指定が違法性の強い献金を支えていたことになり、両氏と団体との密接な関係が問われそうだ。

 問題の政治団体は、81年に設立された「政経政策研究会」(政経会)。政治資金収支報告書などによると、オ社の加藤幸男社主が代表を、関連会社の社長らが会計責任者を務めている。加藤社主が経営から退く06年まで、団体事務所はオ社東京支社に置かれていた。

 政経会から政治家への献金は5社の幹部社員らの給与から天引きした寄付金が原資で、政経会をダミーにした企業献金だった疑いが強く、政治資金規正法(第三者名義の寄付・企業献金禁止)に違反するとみられる。

 与謝野氏は81~01年、政経会を後援団体として旧自治省・総務省に届け出ていた。00年の衆院選で落選したことから、01年途中から08年まで渡辺氏が後援団体として届け出た。

 政経会は92~05年、与謝野氏の資金管理団体「駿山会」に年250万~650万円を献金した。このうち680万円は、与謝野氏が先物取引を指導・監督する旧通産相時代(98~99年)だった。また金融担当相だった06年には、一部の先物取引を規制する金融商品取引法の成立にもかかわった。駿山会の報告書には政経会の所在地を「オリエント貿易(株)内」と記していた。

 一方、渡辺氏の資金管理団体「温故知新の会」も95~05年、年100万~600万円を受けていた。渡辺氏は金融担当相だった07~08年も政経会を後援団体に指定していた。

 オ社は07年にエイチ・エス証券の完全子会社になり、08年に商号をエイチ・エス・フューチャーズに変更した。加藤社主が経営から退き、エイチ・エス証券が経営参画するようになった06年以降、オ社社員からの寄付もなくなった。【杉本修作、長野宏美】

 ◇献金は返却しない

 ▽与謝野事務所の話 政治家として育てたいと応援してもらった。どのように資金を集めていたのか全く知らない。知っていれば初めからもらわない。職務に関して頼まれ事は一度もない。きちんとした扱いの献金であり、返却することはない。

 ◇疑念は抱かず

 ▽渡辺事務所の話 個人から集めた資金を用いて政治献金を行っている団体と聞いており、その説明に疑念を差し挟むような事実はこれまでなかった。先代(故渡辺美智雄衆院議員)からの付き合いで(団体の)推薦を受けることになった。今後の対応は相談のうえ適切に対処する。

 【ことば】▽後援団体と寄付金控除制度▽ 後援団体は国会議員、都道府県知事らを「推薦または支持することを目的とする」団体。政治資金規正法は政治家が総務省や選挙管理委員会に「被推薦書」を提出することが必要と定める。後援団体に個人献金をした者には、租税特別措置法で所得税の一部を控除する制度がある。控除を受けるには、総務相が後援団体を通じて発行する寄付金控除証明書が必要。個人献金の促進が目的で、最大で寄付金の約4割が確定申告後に還付される。

毎日新聞 2009年6月24日 3時05分(最終更新 6月24日 3時05分)

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