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和辻哲郎、志賀直哉…文化人育てた奈良「日吉館」取り壊し
このニュースのトピックス:旅
作家の志賀直哉や哲学者の和辻哲郎ら文化人が定宿にした奈良公園内の旅館「日吉館」だった建物(奈良市登大路町)が老朽化し、22日、取り壊し作業が始まった。大勢の文化人らに「奈良の芸術院」とも呼ばれ、愛された名旅館の建物は惜しまれながら姿を消す。
日吉館は奈良国立博物館から道路を挟んで北側に位置する木造2階建てで、東大寺や春日大社に近い。大正時代の初めに建てられ、平成10年に88歳で亡くなった田村キヨノさんが女将を務めていた。「古寺巡礼」を書いた和辻哲郎らのほか、歌人の会津八一や作家の堀辰雄ら多くの学者や芸術家が奈良での拠点にし、交流の場にもなった。
しかし平成7年に廃業して以降、使われなくなった建物は老朽化が進んだ。今年に入り所有者が奈良公園内にある建物の取り壊しを文化庁に申請。奈良県教委が屋根瓦が落ちる危険性のあることや床が傾くなどしている現状を確認、文化庁が4月に申請を許可した。この日は建物内にあった日常品が運び出され、解体作業用の足場が設けられるなどした。
浅田隆・奈良大名誉教授(日本近代文学)は「日吉館は後に第1線で活躍する文化人の青春の場だった。奈良の文学を考えるときに重要な存在だっただけに、なくなるのは惜しい」と話している。
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