小諸市の宗教法人「紀元会」の信者、奥野元子さん(当時63歳)が教団施設で集団暴行を受けて死亡したとされる事件で、首謀者として傷害致死などの罪に問われた元教団幹部、窪田康子被告(51)に対する控訴審判決が8日、東京高裁であった。若原正樹裁判長は「首謀者が被告人であることは明白」とし、懲役12年の1審判決を支持。被告側の控訴を棄却した。
弁護側は「事実誤認」と量刑不当を主張したが、若原裁判長は判決で、複数の証言から窪田被告が主導して奥野さんを教団施設に連れてきたことや、事件後に奥野さんの家族や会員に隠ぺいを指示したと指摘。「教団内部での強い影響力を背景に、多数の信者を犯罪に加担させた責任は極めて重い」とした。
被告側弁護士は判決後、「こちらの主張が一切認められず、納得できない。上告するつもりだ」と話した。【大島英吾】
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■ことば
70年設立の宗教法人、紀元会で07年9月24日、信者が奥野元子さんの次女を暴行、その後呼び出した奥野さんに暴行し死亡させたとされる。当初、傷害容疑で奥野さんの家族4人が逮捕されたが、教団内の集団暴行だったとして県警は同年10月、同会本部を家宅捜索。1審で長野地検が起訴した26人全員に有罪判決が言い渡された。窪田被告は同会創設者の娘。
毎日新聞 2009年6月9日 地方版