2009年6月22日3時2分
書籍の物流倉庫には全国から返品された本が山積みされている=埼玉県戸田市、西写す
書籍の推定販売額と返品率
店頭では返品を避けるため、出版社の同意を得て値下げ販売も出そうだ。返品コストが減れば、本の価格水準が下がることもありうる。一方で、品ぞろえが偏ったり、在庫を抱えて苦しんだりする書店が出る可能性もある。
出版科学研究所によると、書籍の推定販売額は96年の1兆931億円を頂点に下がり、08年は8878億円に落ち込んだ。返品率も90年代前半は30%台前半だったが、以降は高止まりの傾向が続き、08年は40.1%だった。
出版社の在庫を管理する倉庫会社「昭和図書」の大竹靖夫社長によると、08年の出版社への返品はコミックスなども含めて約8億7千万冊。4分の1は再出荷もされずに断裁処分され、損失額は年間約1760億円になるという。
大竹社長は「責任販売制は本の世界の流通革命。この動きは確実に広がっていく。今後5年で書籍の2割が責任販売になれば、その後は一気に広がるだろう」と話している。(西秀治)