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高知 環境 NA_テーマ2
「仁淀川親子ふれあいバスツアー」に参加しました
2007/07/13

 7/1(日)、「仁淀川親子ふれあいバスツアー」(参加120名)を取材しました。5年ほど前から、仁淀川の環境保全を目的として、仁淀川漁業協同組合が主催しているバスツアーなのです。いわゆる観光ツアーとは、一味ちがった告発色の強い企画で、上流から下流までのほぼ全域に散らばる8つのポイントを9時間かけて経巡るのです。特筆すべきは、以下のポイントかと思います。

 [製紙排水]

 仁淀川は、石鎚山(1982m)に源を発し、愛媛県6市町村、高知県7市町村をつらぬき、四国のど真ん中で太平洋に注いでいる1級河川です。全長124km(全国44位、四国4位)、支流165本。水質は全国4位ですが、1位から3位までは北海道の川なので、本州以南では1位なのです。そのため、高知県人口の約半数の人の上水道の水源にもなっています。

 最上流部には、以前TVの取材で行きましたが、女子アナが涙するほどの急峻な地形なのです。水はあくまでも透明で、静水だと空気のように見えないのです。しかし、その水も太平洋とぶつかるころには、かなり汚染されているというのが現実です。特に、いの町の製紙排水の白いヘドロには、ゾッとするものがあります。いの町の製造品出荷額の8割以上を占める製紙業の排水なので、行政側も規制に遠慮があるようです。四国山地に阻まれて工業化の遅れた高知県では、排水処理施設などの環境対策は後回しにされ続けてきたのです。

 [ダムと砂利採取]

 小学校4年生でも知っていることですが、流水の働きには、3つの要素があります。1・けずる 2・はこぶ 3・つもらせる です。太古の昔から山川海は、その自然の営みによってバランスを保ってきたのです。ところが、今の仁淀川では、2・はこぶ 3・つもらせる の機能が麻痺しています。国土交通省や高知県知事は、小学校4年生の理科をもう1度しっかりやり直して欲しいです。

 まず、仁淀川には、6つのダムがあります。中でも、1987(昭和62)年に完成した大渡ダムは、総事業費780億の巨大ダムです。そのため、上流からの土砂はおよそストップしているのです。にもかかわらず、毎日2000t以上の土砂が中流域で採取されているのです。漁協は、鮎の繁殖が砂利の減少によって阻害されていると嘆きますが、生態系だけのことではありません。海岸線の後退、仁淀川沿いの道路の崩落等、その影響は大きいのです。

 10年ほど前、私は県政モニターというのを引き受けていました。その時、県の河川課に、砂利採取を許可しないよう、長文の意見書を出しました。いつものやり方なのですが、それを短縮して、高知新聞にも投書しました。まもなく、河川課から長文の回答が来ましたが、要するに、「仁淀川の砂利採取は必要悪です」という内容のものでした。しかし、日本国の1級河川でこの「必要悪」が行われているのは、仁淀川だけなのです。県が、観光の目玉として意識している四万十川では、とっくの昔に中止しているのです。

 また、5年ほど前、私の友人が、橋本知事と砂利採取業者を同席させ、川砂利の採取が仁淀川の自然をいかに破壊しているかを力説しました。それは、とても勇気のいる行動なのです。実はその日、私は、県警暴力団対策課の課長に、いの署で待機してもらっていました。

 橋本知事の返事は、「国交省管轄の下流域で砂利採取を許可しているのだから、県管轄の中流域で禁止するわけにはいかないです」というものでした。私たちが期待したのは、「仁淀川保全のため、まず中流域で砂利採取を禁止しましょう」という言葉だったのですが、‥‥。

 [もう一言]

 清流・仁淀川を考えるとき、製紙排水、砂利採取に加えて、もう1つ不安材料があります。それは、日高村の仁淀川沿いに造られる産業廃棄物処理施設です。よりによって、最悪の地質条件のところに造ろうとしているのです。理解に苦しみます。

 高知県は、1周遅れのトップランナーでいくべきなのです。工業化に取り残され、残ってしまった自然だけが県民の誇るべき財産なのです。高知県の貴重な自然を生かした地域づくりは、農林漁業に加えて、観光です。そのためには、四万十川とともに仁淀川も清流として残す必要があります。

(小倉文三)

 仁淀川上流 水はどこまでも澄みきっている(写真はすべて、クリックすると大きくなります)






 仁淀川中流 朝霧たちこめる沈下橋の風景






 仁淀川下流 河口大橋のむこうに太平洋が広がる






 22社中7社の製紙排水がここに集まっている(いの町・天神町)






 選別された砂利が山と積まれている(いの町・楠瀬)






 大渡ダムは20歳、後80年生きるらしいが、その後はどうなるの?






 川や海のため、山や森のお話も聞いた(越知町・自然の森博物館)






 大渡ダムでは、職員の協力により流木の炭焼き体験ができた






 仁淀川では、鮎つりを楽しむ人も多い(越知町・鎌井田放水口)



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[29222] 海砂も要警戒です
名前:成川順
日時:2007/07/14 17:37
 小倉さん、ごくろうさま。 

 
 四万十川では、禁止されるまでに、約500万立方メートルの川砂利が採取されました。そして、四万十川の沖(布沖)では、県の許可のもと、今なお毎年100万立方メートルの海砂が採取されています。


 沖の砂を取る 水深が深くなる それを埋めるために川の砂が流れ込む(補償という) 川の砂利が減る(洪水時には砂利は流体になる) つまり、海砂を採っても川はやせ細っていくのです。この点を追求しても、例の「因果関係がはっきりしない」という逃げ口上を使われそうですが、・・・。


 布沖だけでなく、今でも須崎湾や高知海岸でも砂利採取船を見かけます。「航路確保」とか理由が付けられてます。


 フィリピンでは、生活のために腎臓を1個売る人がいると聞きました。今回、ふとそんな話を思い出してしまいました。利権がらみで、採取の許可を出している県知事が1番悪いのです。その名は、橋本大二郎です。
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