NUMO の核廃・地層処分の広報には、ウソがあります。
原子力発電環境整備機構(NUMO)が、高知新聞の3月23日朝刊11面に全面広告を載せていました。甘利明・経済産業大臣に女性キャスターがインタビューするという形式で、「エネルギーの安定供給に向け地層処分は重要な事業です」というタイトルです。
広告の中での甘利経産相の発言には、放置できない、いくつかの真っ赤なウソがあったので、ここで反論します。
●ウソ1:「いまや日本は世界一の省エネルギー国です」。
日本人1人当たりのエネルギー消費量はインド人の20人分に当たります。宇宙から見ると、夜の日本列島は世界1明るいと言われています。たとえば、夜も明るい自動販売機は、全国に250万台あるそうですが、これは原子力発電所1基分の発電電力を食いつぶしているそうです。また、膨大な電力を消費して作られるアルミ缶は、その半数以上が埋め捨てにされているそうです。
世界の人口を4つのグループに分けると、25%の先進国が80%のエネルギーを消費しています。25%の極貧国は、2%のエネルギーしか消費していません。いまの世界は、すさまじい格差社会なのです。もちろん、日本は先進国の仲間です。その日本が、どうして世界1の省エネルギー国などと言えるのでしょうか?
●ウソ2:「原子力は供給安定性や経済性に極めて優れています」。
まず、長期的に見て、原発燃料のウランは、あと60年くらいで枯渇すると言われています。石油よりは長持ちしそうですが、ウランも無尽蔵ではないのです。短期的にみても不安定です。原発には、放射能の拡散という不安があるので、定期点検が欠かせません。点検期間中は当然、電力供給はストップします。また、地震のため昨年7月以降、操業できなくなっている柏崎刈羽原子力発電所は、再開の見通しのつかないままに立ちすくんでいます。原子力発電のどこが供給安定性に優れているのでしょうか?
誰にも嫌われている「地層処分」には、兆単位のお金がかかると言われています。また、何百万年先の未来にまで、のしかかってゆく核廃管理コストを考えると、無責任極まりない発言です。当然、放射能は海に空に陸に拡散していくのですから、放射能汚染による健康被害対策に必要となる医療費も、計上しておかなければなりません。トータルで考えれば、経済性に優れているなどとは言えないのではないでしょうか?
●ウソ3:「地層処分は、世界的に認められた、もっとも安全で確実な処分方法です」。
誰がそんなことを認めているのでしょうか? 人類の歴史を400万年としても、高レベル放射性廃棄物の地層処分をしたことのある人間は人類史上、一人もいません。人類には、未知の処分方法なのです。イギリスなどは、あまりに危険すぎるということで、地層処分から撤退することを決めました。日本の場合、地下水脈が多く、地震も多いので、放射能拡散の可能性は高いのです。もし、「120%安全で確実」と言うのなら、国会議事堂の地下300mにでも処分したら、どうでしょうか?
●ウソ4:「原子力発電を行っている以上、このゴミの処分は避けて通れないということです」。
それ以外の方法はないと言わんばかりなので、ウソ扱いしました。ゴミの処分ができないなら、ゴミを出さないようにしたらいいのです。つまり、電力を原子力に頼ることを止めたらいいのです。そういう選択肢もあることを考えるべきです。今、人類の歴史を400万年とし、それを4mで表わすと、電気利用の歴史はここ百数十年程度ですから、0.1mmにしかなりません。
人類は、ずっと、全く電気なしで暮らしてきたのです。原子力発電による電気がなくても人類が滅びることはないでしょう。原子力発電に電力供給を依存する道は、地球温暖化の危機が叫ばれる今日、世界的に広がりつつあります。しかし、それは、人類が科学文明の糞尿にまみれて滅亡に至る道なのかもしれないと、私は思います。