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イラン最高指導者が改革派非難 大統領再選支持を鮮明に

2009年6月20日0時49分

 【テヘラン=吉武祐】大統領選に不正があったとして改革派が抗議行動を続けるイランの最高指導者ハメネイ師が19日、金曜礼拝で演説し、圧勝とされたアフマディネジャド大統領の続投支持を鮮明にする一方、改革派の行動を「正しい道ではない」として批判した。最高指導者として国民に平静を呼びかけたものだが、抗議行動に歯止めがかからなければ、権威がいっそう傷つく恐れを抱えている。

 演説でハメネイ師は「選挙で国民をだますことはない。1100万もの票差をごまかすことはできない」と述べ、アフマディネジャド氏の再選を認める立場を改めて表明。「内政も外交も、私の考えは彼に近い」とも述べ、今後もアフマディネジャド氏の後ろ盾となる考えを示した。

 改革派は開票結果に異議を唱えているが、今回、再選支持を鮮明にしたことで、ハメネイ師の「分身」とされるジャンナティ師が仕切る護憲評議会が、改革派の要求に応じて選挙を無効にする可能性は事実上なくなった。

 ハメネイ師はまた、改革派が街頭での抗議行動をやめない場合、「結果に責任を負う」と警告。強制鎮圧も辞さない姿勢を示した。

 最高指導者とはいえ、カリスマ性や指導力で故ホメイニ師に遠く及ばないハメネイ師は、自分の立場を強めるため、アフマディネジャド氏の支持母体である革命防衛隊など保守強硬派を頼るしかないのが現実だ。

 ハメネイ師はアフマディネジャド氏の圧勝が発表された13日、結果を受け入れるよう国民に訴えたが、護憲評議会による承認手続きを経ないまま、再選に「お墨付き」を与えた動きは、革命防衛隊をバックにしたクーデターとの見方も出るなど、改革派を失望させた。直後から抗議の騒乱が相次ぎ、結果的に最高指導者の威光は大きく傷ついた。

 20日には、改革派の重鎮ハタミ師ら宗教指導者の政治組織「闘う聖職者たち」がテヘランで大規模デモ行進を計画している。内務省の許可は出そうになく、ハメネイ師の意向に背いてデモを強行するかどうかが注目される。大統領選で敗れたムサビ氏はデモ実施に消極的との情報もある。

 改革派の抗議行動は、15日の衝突で死者を出して以後、現政権を露骨に非難するスローガンを控え、沈黙したままデモ行進を行うなど平和戦術に転じている。平和的なデモを強制的に鎮圧すれば、国際的な非難を招くのは必至だ。一方、警告を無視する形で抗議行動が続けられれば、ハメネイ師にとっては、さらなる権威低下を招くというジレンマがある。

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