県議会厚生委員会(井岡正徳委員長)は、地域医療に対する県民の協力などを明記した「ならの地域医療を守り育てる条例案」を提案し、19日の委員会で賛成多数で可決した。26日の本会議に県議会としては初めて委員会提案し、成立する見通し。全国都道府県議会議長会によると、成立すれば議員提案としては全国初となる。
07年に橿原市の妊婦が救急搬送中に死産した問題などを受け、昨年9月から同委員会で条例制定に向けて議論を重ねてきた。
条例案は6条で構成。県民の協力について「健康増進に努め、医療提供施設の機能に応じ適切な受診を心がける」と規定した。さらに県の責務は「限りある医療資源を有効に利用し、良質かつ適切な医療提供体制を確保する。県民が適切に受診することができるよう情報を提供する」などとした。
この日の委員会で、今井光子議員(共産)は「医療機関を受診したくてもできない人もいる。県民の協力というのは実態に沿わない」と反対したが、浅川清仁議員(自民)は「『地域医療を守り育てる』という基本条例で、約1年間で十分な議論が尽くされた」と述べ、採決では共産以外の各会派が賛成した。【阿部亮介】
毎日新聞 2009年6月20日 地方版