論理的思考力
私が高校三年生、浪人時代に通っていた「予備校S」は「論理的思考力」を養成する予備校であった。
その「論理的思考力」をつけるための手法を「SK方式」と呼んでいた。
その目的と方法は、以下の様なものである。
〔目的〕
「単なる知識」は使わなくなれば忘れるが、「論理的思考力」は永久に無くならない。仮に単語や熟語を暗記させ、点を取らせ、大学に合格させたとしても、いずれ英語を必要としなくなれば単語や熟語はあっけなく記憶から去って行き、後には何も残らない。予備校に通って得たものがその後の人生で何の役にも立たないと言うことになってしまう。
ところが昨今の中学・高校・予備校・ひいては大学教育に至るまで、ほとんどが問答無用の詰め込み教育に終始している。このような「詰め込み教育、即ち、なおざり教育」に一石を投じるべくして当予備校を設立した。つまり、我々の目的は知識を与えるのではなく、論理的思考力を養う事である。
〔方法〕
まず、思考の土台となる根本原理を教え、これを明確に理解させる。次いで問題を解く際に教師はヒントを出すだけであって、答を教えたりはしない。生徒は教師の出すヒントを手掛りにして「論理的思考力」を繰り返し自ら答に到達する、というやり方である。始めから教師が答を示したのでは、生徒は「考える」事をしないで、ただ「丸暗記」するだけであって、思考力もつかなければ応用力もつかない。この種のやり方では、授業でやったものと同じ問題なら解けるが、他の問題になると解けなくなる。
我々のやり方は、最初は解答には遠い抽象的なヒントを出し、分からなければ解答に近い具体的なヒントを、という様に段階的に出して徹底的に「考えさせる」のである。教師が答を示し、生徒は何も考える事なしにそれを暗記していくやり方と違って、このやり方だと「考える」習慣が身に付くばかりでなく、「自分で答に到達した」という実感を持つようになり、そこから興味、積極性、ヤル気、自信へと発展していく。
心理学が教える様に、暗記に頼った単なる知識は「学習の転位」が起こらないが、「論理的思考力」は大きく「転位」する、即ち「他の教科にもプラスに作用」する。
私は残念ながら、この「論理的思考力」を身に付けるレベルにまでは到達しなかった。しかし、これからの全人生を賭けて、必ずや、「論理的思考力」を身に付けたいと切に願う。
おまけ
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SKの首領:余湖三千雄 |
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