2009年6月19日10時13分
逮捕された部員も生活していた大学そばの近大ボクシング部の寮=大阪府東大阪市
大阪府東大阪市で通行人に暴行し金を奪ったとして、近畿大学ボクシング部に所属するいずれも19歳の男子学生2人が逮捕された事件で、学生のうち1人が「弱そうなやつばかりを狙った」と供述していることが府警への取材でわかった。府警は2人が5月初めから、同市や大阪市生野、東成、中央の各区で十数件の強盗や恐喝を繰り返していたとみており、裏付けを進めている。また、近畿大は今回の事件を受けて18日、ボクシング部を廃部とすることを決めた。
府警によると、学生の1人はこれまでの調べに「生活費が欲しかった。2人で他に十数件やった」と供述。被害者に狙いをつける際には「弱そうなやつを狙った」などと説明したという。
逮捕された2人は、逮捕容疑となった6日の東大阪の路上強盗事件の翌7日に近畿学生ボクシングリーグの公式試合に出場していた。うち1人は試合中に脳振盪(しんとう)を起こして入院。府警は8日の時点でこの学生が関与した疑いがあるとみていたが、回復を待って17日に逮捕した。
5月3日以降に連続発生した類似事件は10〜20歳代の男性を狙い、深夜から未明にかけて集中して発生していた。いずれも、2人組の男が自転車で接近し「目があった」などと言いがかりをつけて殴るけるの暴行を加えていた。1日夜に大阪市中央区谷町7丁目で起きた事件では、自転車2台に乗った男らが被害者の顔を殴り、デジタルカメラなどを強奪した。これらの被害者のなかには近畿大生も含まれており、1週間程度の軽いけがをした人もいた。
近畿大によると、2人は同じ高校の出身で、入学後は大学正門近くのボクシング部の寮で生活していた。たびたび午前0時の門限を破り未明に戻っていたという。8日に、1人が逮捕され、大学側が事件を把握。これを受け浜田吉治郎・ボクシング部総監督が入院中のもう1人に「先輩も後輩も今後試合に出られなくなった」と伝えると、学生は泣き崩れ、「すみません、すみません」と何度も頭を地面にこすりつけて謝罪したという。
また、同大は同日午前、懲罰委員会を開き、2人を無期停学処分にした。起訴された場合は退学処分とする方針だ。