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【社説】

党首討論第2弾 勢いの差がにじみ出た

2009年6月18日

 やじが目立ち、言いっ放しだった前回と比べ、論点もかみ合いだし、落ち着いた党首討論となった。一方で両者の勢いの差がにじみ出た印象もあった。「党首力」比べへ、可能なら、さらに議論を。

 日本郵政社長人事をめぐる混乱で支持率急落を招いた麻生太郎首相。就任後の地方選で連勝し世論の追い風を受ける鳩山由紀夫民主党代表。党首討論第二ラウンドは、総選挙を前にがけっぷちに立つ首相にとっての正念場だった。

 総務相の辞任に発展した日本郵政問題で、鳩山氏は冒頭「首相は判断できない、ぶれる、間違える」と切り捨て、民主党政権が誕生すれば、西川善文社長を辞任させると断言。首相は「民間会社の人事に政府が世論をバックに介入すべきか、には慎重でなければならない」などと反論した。

 首相の主張にはもっともな点もある。ならば、なぜ早い段階で自らの考えを表明し、事態収拾に動かなかったか。遅すぎる。

 鳩山氏は前回提起した「麻生官僚政権」の問題点をより具体的に踏み込んで追及した。首相は民主党政策の“アキレスけん”である財源論と安全保障に絞って攻める作戦だったようだ。

 「コンクリートより人の命」と鳩山氏はハコモノ予算からの決別を求め、社会保障政策の充実を促した。首相は、四年間は消費増税なしに対処できるとした民主党方針を無責任と批判。予算の無駄遣いカットで財源を生み出すとの説明にも、国債費など「削れない」項目を列挙して、現実的でない、と指摘した。

 一番の見せ場だったのに、首相は用意したペーパーをそのまま棒読みしている。「アニメの殿堂」とやゆされる漫画展示施設の設立について「なんで緊急的に必要となる補正予算に組むのか」と迫るなど、「官僚主導予算の印象づけ」を狙った鳩山氏の注文に、はまってしまった格好だ。

 劣勢との焦りからか首相は討論の最後に唐突に小沢一郎前代表の「在日米軍は第七艦隊で十分」発言を持ち出し次回を早急に行うよう求めた。私たちも賛同する。しかし本格的な舌戦は総選挙の場がふさわしいのではないか。

 全体的には首相の話は細かすぎ鳩山氏の方が分かりやすかった。ただ、財源については政権をとってから、とのニュアンスがある鳩山氏の説明もすっきりしない。ここを詰めておかないと、総選挙へ今の勢いが続くとは限らない。

 

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