2009年6月14日3時1分
自称・障害者団体「凛(りん)の会」(現・白山会)を郵便割引制度の適用団体と認めた証明書の不正発行をめぐり、厚生労働省内で決裁文書が偽造されていた事件で、逮捕された障害保健福祉部係長の上村勉容疑者(39)=虚偽公文書作成・同行使容疑=の上司だった元部長(退職)が大阪地検特捜部に対して、証明書発行が完了したという報告を部下の当時の企画課長(53)=現局長=から受けたと証言していたことがわかった。
当時のこの課長については、ほかの厚労省関係者も、凛の会の証明書発行にかかわったとの趣旨の証言をしている。特捜部は一連の経緯への関与の有無を本人に確認する必要があると判断、一両日中にも任意で事情を聴くとみられる。
元部長の証言によると、元部長は04年6月、審査を担当する当時部下の課長から、凛の会への証明書発行が完了した報告を口頭で受けたとされる。「難しい案件でした」とも説明されたとされる。
凛の会への証明書発行をめぐっては、元部長が04年2月、国会議員から対応を頼まれ、この課長らに伝えたことが発端である疑いが、関係者の証言で明らかになっている。課長ら複数の職員が出席した企画課の会議でも同様の指示があったとされる。
その後、かつて国会議員の私設秘書だった凛の会元会長で白山会代表の倉沢邦夫容疑者(73)=郵便法違反容疑で再逮捕=が、凛の会を適用団体と認める証明書の発行を企画課側に依頼。上村係長が04年4月、証明書発行に必要な決裁文書を偽造し、同6月には不正な証明書も作ったとされている。
上村係長が特捜部の調べに、証明書は課長に直接渡したと供述していることがすでに判明しており、凛の会側に証明書を渡したのは課長だった可能性が高まっていた。
当時のこの課長は昨年7月から局長に就任。これまでの取材に、証明書の不正発行への関与を全面否定している。