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発熱外来の原則廃止を検討、検疫態勢縮小へ 厚労省

2009年6月18日5時15分

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 今秋にも予想される新型の豚インフルエンザ大流行の「第2波」に備え、厚生労働省が、医療対策や検疫態勢の見直しを検討していることが分かった。発熱など感染が疑われる症状がある人を最初に診る「発熱外来」を原則、廃止し、検疫態勢を縮小する方向だ。患者の増加で特定の医療機関に診療が集中し医療態勢が崩壊することを避け、重症者に力点を注ぐ対策に切り替えるのがねらいだ。今週中にも方針を決める。

 政府は世界保健機関(WHO)が11日、新型インフルの警戒レベルを世界的大流行(パンデミック)を意味する最高度のフェーズ6に上げたのを受け、「第2波」を想定した対策を検討。これを受けて、厚労省は専門家の意見をもとに、医療対策や検疫態勢の具体策を定めた運用指針の改訂作業を進めている。

 発熱外来は、新型インフルに感染した人と、それ以外の人とに振り分けるための外来専門の医療施設。新型インフルの疑いがあれば、軽症でも入院させるなどの役割を担っている。

 しかし、5月に国内で初めて患者が確認された神戸市では一時期、発熱外来に患者が殺到し、医療機関がパンクしかけた。

 患者の受診を発熱外来に限定していると、重症患者が軽症患者に紛れてしまい、適切な治療を早くできず、救えない可能性もある。

 このため、検討案では、発熱外来にこだわらず、原則的に広くすべての医療機関で患者が診察を受けられるようにしている。

 特定の施設に集中することなく、患者の分散が期待できる。重症患者は必要があれば入院できるが、軽症患者は入院させず、自宅療養させることを基本にする見込み。

 ただ、重症化しやすい基礎疾患のある患者は、初期症状が軽くても入院を検討することにした。「重症患者の救命を最優先とする医療提供態勢」が必要だとの考えが下地になっている。

 厚労省の発表によると、国内でこれまでに感染が確認された患者で重症者は出ていない。だが、海外では患者が増えるのに伴い、一定の割合で重症者が出ている。

 現行では、感染の疑いのある人全員に遺伝子検査を実施しているが、こうした確定診断は、発生動向を追いかけるのには有効だが、感染が広がってしまうと、必要性は薄れる。このため、遺伝子検査は一部に限り、患者の集団発生の早期確認に重点を置いた態勢への切り替えも検討する。

 検疫態勢は、ほぼ通常の検疫に戻す方針だ。世界的大流行(パンデミック)と宣言されたため、海外から日本への感染者の流入を阻止するのは困難と判断。すべての入国者に提出を求めている体調や連絡先の記入を求める健康状態質問票の配布を原則的に廃止し、発症者全員の遺伝子検査はやめる。

 ただ、検疫ブースで、新型インフルに関する注意を書いたカードを配布するほか、集団発生を把握する目的で、同じグループから3人以上発症している場合は遺伝子検査を実施する。

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