2009年6月17日11時26分
幹部の出迎えを受け、栃木県警本部に入る菅家さん(中央)=17日午前11時、宇都宮市塙田1丁目
菅家利和さん(左から3人目)に謝罪する石川正一郎・栃木県警本部長(右)=17日午前11時すぎ、同県警本部、上田潤撮影
石川正一郎・栃木県警本部長(右)にうながされ、着席する菅家利和さん(中央)。左端は佐藤博史弁護士=17日午前11時すぎ、同県警本部、上田潤撮影
90年に栃木県足利市で当時4歳の女児が殺害された「足利事件」で無期懲役が確定し、服役中に釈放された菅家利和さん(62)が17日、同県警本部を訪ね、石川正一郎本部長と面会した。石川本部長は「長い間つらい思いをさせたことを心からおわび申し上げます」と述べ、深々と頭を下げた。捜査当局が菅家さんと会って謝罪したのは初めて。
県警が謝罪のための面会を申し入れた後、菅家さん側が自ら県警を訪ねる意向を示し実現した。菅家さんは同日午前11時ごろ、弁護団の佐藤博史弁護士ら2人の弁護士とともに同県警本部を訪れた。滝沢依子警務部長の出迎えを受けた後、2階の応接室で石川本部長と会った。
県警は11日にも、石川本部長名で「誠に遺憾であり、申し訳ない」とする談話を発表している。これに対し、佐藤弁護士は「謝罪するのなら直接、菅家さん本人に向かって行うべきだ」と批判するコメントを出していた。
菅家さんは釈放直後の記者会見で、県警の取り調べについて「髪の毛を引っ張られたり、け飛ばされたり。刑事の取り調べが厳しく、『白状しろ』『早くしゃべって楽になれ』と言われ、どうしようもなくなって『自分がやった』と言ってしまった」と証言。警察や検察に対して「絶対に許すことはありません」と憤りを語っていた。
一方、石川本部長との面会を控えた16日の会見では、「相手の謝り方次第です。反省しているということが感じられれば、許したいと思う」とも話していた。
菅家さんは17日午後、足利市役所に向かい、大豆生田(おおまみうだ)実(みのる)市長と面会。その後、殺害された女児の遺体が見つかった渡良瀬川の河川敷の現場を訪れ、黙祷(もくとう)する予定だ。