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’09都議選:都政の課題/2 周産期医療 /東京

 ◇深刻さ増す産科医不足

 昨秋、脳出血の妊婦が都立墨東病院(墨田区)など複数の病院から受け入れを断られて死亡した問題は、都内の周産期体制の脆弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにした。都は今年3月、緊急性の特に高い妊婦治療を必ず受け入れる「スーパー総合周産期医療センター」として昭和大病院(品川区)など3病院を指定した。さらにNICU(新生児集中治療管理室)の増設を援助しているが、肝心の産科医師の不足は解消されていない。

 皇室とのかかわりの深さでも知られる愛育病院(港区)が3月、労働基準監督署から夜間当直時の医師勤務体制について是正勧告され、都から周産期医療の要として指定された「総合周産期母子医療センター」の看板を返上しようとした問題は、都内の産科医不足を改めて認識させた。

 都によると、都内の分娩(ぶんべん)取り扱い施設は90年には394施設だったが、05年には192施設へと半減している。産婦人科医の数も90年の1777人から06年には1411人に減少した。その一方で、出産時にリスクが高いとされる低体重児(2500グラム未満)の、1000人当たりの数は1980年には51・6人だったが、07年には94・3人へと上昇している。

 都はNICUの設置を進め、今年5月1日現在で216床となった。しかし都の基準ではNICUには24時間体制での医療従事者の配置が求められているため、NICUが増えれば人手も増やさねばならない。例えば公立豊島病院(板橋区)ではNICU6床があるが、人手不足のため現在は稼働できていない。

 都は医師確保策として、08年度から各病院が当直手当や福利厚生面を改善した場合に補助する「医師勤務環境改善事業」を実施するなどして、医師確保に取り組んでいる。しかし都の担当者は「都にできる対策は、現在の医師数を維持すること。医師の絶対数を増やす根本解決は国に取り組んでもらわなければならない」と話している。【江畑佳明】

毎日新聞 2009年6月17日 地方版

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