黒川　子供が3人いるっていいですね。私も3人欲しかったな。

石黒　手があればいくらでも産みたいんですけど、実家も遠いし、手伝ってもらえる人がいないから3人が限度かなと思うんですけどね。

黒川　でも、子供たちが一緒に遊んでる様子を見るだけでも心が和（なご）みますよね。私も欲しかったな……。

石黒　お仕事が忙しかったんですよね。

黒川　正確に言うと、実は2人目を流産して、その後に諦めてしまったんですよ。仕事も忙しくて、当時は週に３回は飛行機に乗るような生活だったから。仕事を取るか子供を取るかで悩んだけど、今思えば子供を取ればよかったよね。石黒さんは玲夢ちゃんが育ってからでもまだ産めるじゃない。

石黒　そうですね。玲夢が20歳になった時に私は42歳だから、玲夢と一緒に産んで育てようかな。うちの家系って、どうしてかわからないけどみんな若いうちに結婚して子供を産んでるんですよ。

黒川　きっと“女力”が強いんだと思う。素敵なことですよ。

石黒　先生の本、読ませていただきましたけど、本当に楽しかったし教わることもすごく多かったです。小さいうちは早寝早起きが大事だっていうこともわかって、やっぱりそうだったんだって安心しました。

黒川　石黒さんのお子さんくらいの年齢だと、何時に寝ても脳の海馬（かいば）っていう組織構造がきちんと働くんだけど、8歳を過ぎると睡眠の質が少し落ちてくるんですね。そうすると、夜の10時から深夜2時の間にしっかり寝ることが大事になってくるんだけど、今、お受験とかでその時間になかなか寝せないじゃないですか。それって子供にとって酷なんだよなぁって、私はそれをすごく憂いているんですよ。

石黒　うちの子がラッキーだったのは、いいお医者さんに出会ったことですね。今、真ん中の子が喘息（ぜんそく）なんですけど、いつも行ってる病院の先生にはこだわりがあって、喘息を治したいなら夜９時までに絶対寝かしてくださいって言われたんですよ。それまでは私の仕事もあるし、旦那さんも遅く帰ってくるから夜ご飯を9時頃に食べて、11時くらいに寝るような生活だったんです。でも、「それじゃ治らない」って。「お母さんの責任でどうするつもりですか」って言われて。それからは早い時は8時半、遅くても10時前には子供たちはみんな寝るようにしてるんですよ。その先生には、食事にしても、慎ましやかに「いただきます」「ごちそうさま」って食べることが大切だって教えてもらったし。その上で黒川さんの本を読んだから、よかった！　まだ取り返せるかもって思ったんですよ。

黒川　まだ6歳だから全然平気ですよ。でも、睡眠が喘息にもいいのは知らなかった。そうなんですか。

石黒　先生が言うには、その時間に眠ることで体の免疫機能があがるんですって。だから、早寝を守ってる子は治りが早いって。でもそれだけじゃなく、その時間に寝かせた時と遅く寝かせた時では、次の日の機嫌が全然違うんですよ。遅く寝ていた頃は、どこかイライラした感じもあったけど、早寝に変えてからは家の中も穏やかになった気がするんです。

黒川　そうなんだ。うちは最初から早く寝かせていたけど、そのせいかどうか超おっとりしてるんですよ。まあ、私も主人もそうだから、うちはまるでカバの親子みたいなの。リビングで３人で体をくっつけてテレビを見たり、体をくっつけたままパパが新聞を読んで、私が本を読んで、息子が絵本を読んだりして1日過ごしてたんですけど、今も同じようなことをやってるんですよ。ただ、息子はもうすぐ15歳で身長が180センチも越えたから、もう川の字じゃなくて真ん中が長くなっちゃった（笑）。

石黒　なんか楽しそう！　今、うちでは8時半くらいから電気を半分ずつ消し始めて、テレビも消して、お布団に入ったら、10時くらいまで暗い中でずーっとおしゃべりしてるんですね。長女と次女の真ん中に私が入って、私の太もものところに男の子を寝かして、明日１日何して楽しいことをしようか考えようって、みんなで目を閉じておしゃべりするんですよ。あとは誰が一番最初に寝るかゲームをしたり、寝たふりごっこをしたり。そうするとみんな寝ちゃうんです。

黒川　ああ、すごくいい話。幸せな時間ですねぇ。

石黒　そうですね。そういう時は自分でも、なんて私って幸せなんだろうって感じるかな。子供を産む前までは、必ずしも毎日幸せを感じて生きてきたわけじゃないけど、今は毎日そう思えるんですよ。子供を寝かした後、私は家事があるから起きていろいろやるんだけど、それが終わってもう一回子供たちと寝る時に、どの子の隣にも寝てあげたいと思う。でも、3人だから私が真ん中に入ってもひとり余るのはしょうがないんだけど、寝る前に10分くらいみんなの顔を見て、毎日幸せだなと思って自分も寝られるようになりましたね。アイドルの頃は不眠症とかだったんですけど、今は子供のそばにくっついてるだけで魔法のように３秒くらいで寝てしまうんです。

黒川　子供の寝息に誘われるんですよね。

石黒　でも、早起きはまだ実践できないから、まだまだですね。子供たちが早く起きてるのは知ってるんですけどね。子供たちはすぐ私を起こしにかかるんですよ。すごい元気で、私の上にバーンと乗っかったりするから、気合いを入れてないと内臓を痛めちゃうくらい。打撲なんかしょっちゅうですよ。

黒川　うちはね、今は猫が起こしにくるの。私があまりに起きないと、私の胸の上に乗っかって顔を近づけて、鼻の穴に自分の鼻をくっつけて“ふん”って鼻息を入れるの。

石黒　うわー、かわいい！　うちはもう、真ん中の子が一番激しく起こしにきますね。あの子はいくら注意しても大らかというか、「コラー！」って叱っても、「ママごめん」って言いながら1時間くらいすると同じことをまたやるんですよ。とにかくやって欲しくないことをやる子なんですよね。例えば本を片付けようと思うと、本の上に乗ったり。その台にあがったらコケるなーと思って見てると、必ずあがってコケたり。

黒川　本人は実験してるんじゃないの。実は私もそういう子で、母に同じようなことを言われてたから。「あなたは、あそこにあがると危ないなと思うと、必ずあがってコケてた」って。自分としては、危ないとわかってるんだけど、そこが気になってしょうがないんですよ。なんというか、“調和の乱れ”みたいな場所があるじゃない。例えば父の大事な本が床に落ちてチョウチョみたいな形になってると、そこはもう調和の乱れで、どうしても背表紙の上に乗ってみたくなるの。

石黒　先生、なんでですかー、わかんない（笑）。

黒川　あとは、椅子がいくつかあると、丈夫な椅子より丸くて危うい椅子に乗っかって転んでみたり。

石黒　それ、うちの子とまるで同じですよ。椅子の背にもたれながらテーブルを足で蹴ってバーンと倒れてみたり、外でおしゃべりしながら歩いてると、止まってる車のサイドミラーにドバッてぶち当たったり。

黒川　そうそう。

石黒　でも、そういう子のせいか、確かに打たれ強いんですよ。上の子は、いかにも一番目っていう感じで、石橋を叩いても渡らないみたいな性格なんだけど。

黒川　子供って、いろいろ違うから面白いですよね。私なんか大きくなっても同じで、母親から「あなたは男選びもそうね」って言われてましたから。

石黒　いやー、先生、やめてくださいよ。不安になってきた（笑）。

黒川　ハンサムで、頭も良くて、将来性もある人が来てるのに、そこに行かずに違うところを見てるって。あなたはいつもそうなのよって言われるんですよ。

石黒　じゃあ、うちの子も先生みたいになるのかなぁ…。

黒川　いい感じに外れて生きていくんですよ（笑）。世の中のこと、何も見てないでしょ。

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