2009年5月15日22時19分
準大手ゼネコンの西松建設は15日、民主党の小沢代表側への違法献金事件などを受けて進めていた内部調査の結果を公表した。工事の受注活動を円滑にするために、ダミー団体を使って政治家側への違法献金をしていたことを認める一方、07年までの約10年間に海外で計約9億円の裏金を作っていたことを明らかにした。
また、裏金とは別に、国税当局に支出先を明かさずに税務申告した使途秘匿金は08年までの5年間に約26億円に上り、工事の近隣対策費や民間会社へのリベートなどに使われたという。報告書は裏金づくりの経過や役員らの関与について詳細に記述した異例の内容になっている。
同社は、調査結果を受けて経営責任を明確にするために、6月26日の株主総会で石橋直社長(69)ら代表取締役4人全員が退任し、新たに近藤晴貞取締役(56)が社長に就任する人事も発表した。
報告書によると、同社は94年の政治資金規正法改正で企業から政治家個人への直接の献金が禁じられたことをきっかけに、社名を出さずにダミーの政治団体の「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」を通じて政治家側に献金。ダミー2団体による献金総額は06年までに約4億8千万円に上ったとしたが、献金先の政治家名にはふれなかった。献金目的は「受注活動を妨害しないでほしかったから」としている。
裏金については、98年に東南アジアでの工事に関連して裏金を捻出(ねんしゅつ)して以来、米国や香港などで裏金作りを進めた。裏金約9億円のうち約3億3千万円は02〜07年に海外支店の幹部が日本国内に持ち込んだが、内部調査でも使途の大半はわからなかったとしている。