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NIKKEI NET

春秋(6/9)

 3年前に買った青いTシャツは、どうしたっけ。そう思った方も多いかもしれない。先週末にサッカー日本代表がウズベキスタンに勝ち、2010年南アフリカで開くW杯大会への出場を決めた。選手や監督の奮闘を心からたたえたい。

▼しかし前回、前々回に比べ一般の熱気はどうだろう。月曜日の職場や学校で試合について力んで論評する声がどれくらい聞かれたろうか。前回は中継で熱心に見たが、今回の進出はニュースで知った。そんな声も耳にした。スポーツバーに人は少なく、街なかのTシャツ勢も、以前に比べ見かけなかった気がする。

▼十余年前、サッカー人気の台頭は社会的事件だった。選手らの髪形や言動、顔に絵を描いて応援する人々。国際舞台で海外勢と渡りあう選手らの姿は、あえて言えば、この国の進むべき道すらも示唆していたと感じる。国際舞台という点で、お株を奪ったのがワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だろう。

▼米国勢すら破り世界一が2回。イチローをはじめ、個性的で自分らしく振る舞う選手も増えた。野球は中年のもの。これからはサッカーだ。一時のそんな空気も変わり、若者や子どもの間で野球人気が巻き返しつつあるようだ。前回のW杯ドイツ大会、日本はゼロ勝だった。本舞台での勝利に向け、頑張ってほしい。

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