「お弁当と聞いて、すぐ何を思い出すの?」
ソウルの親友に聞いたことがある。彼女は間髪を入れず、こう答えたものだ。
「海苔巻き!?キムパプです」
キムは海苔、パプはごはん。そうなのだ、韓国スタイルの海苔巻きである。中身の基本は、たくわん、ソーセージ、きゅうり、かにかまぼこ。赤白黄緑それぞれきちんと切った四角の集合体が、海苔巻きのまんなかにきゅっと仲良く並んでいる。海苔にはごま油がさっと薄く引いてあり、その香りの香ばしいこと!幅1.5cmほどに切って頬ばれば、もう止まらない、やめられない。いくらでもお腹に入ってしまう。
そもそもキムパプは、日本から韓国へ伝わった食べ物である。ただし中身は、いつのまにか韓国スタイルに変化した。たくわんは、韓国の人々にとってはまさしく日本のイメージ。しかし、海苔にごま油を塗るのは韓国の味そのもの。つまり、日本と韓国ふたつの国が一本の海苔巻きのなかにちゃんと成立しているのがキムパプなのだ。 |