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現場から:振り込め詐欺/上 検挙11件、東北トップ /山形

 ◇首都圏に捜査員、長期派遣 「絶対、標的にさせない!」

 県警の振り込め詐欺捜査が成果を上げている。県警の検挙数は今年に入り4月までで11件。岩手1▽宮城1▽青森、秋田、福島0で、東北で断然トップだ。これは県警捜査2課が08年5月に「振り込め詐欺事件捜査強化推進本部」を組織し、首都圏などに長期間捜査員を派遣、犯人の隠れ家割り出しなどに成功した結果だ。一方、警察官を名乗り訪問しキャッシュカードや通帳をだまし取る「訪問型振り込め詐欺」も県内で相次いだ。新たな手口にも「絶対に山形をターゲットにさせない!」と「山形方式」の捜査をする県警の動きなどを追い、2回に分けまとめた。【浅妻博之】

 「(金の引き出し役の「出し子」など)末端の犯人逮捕では事件の解決にならない。隠れ家を割り出しグループを一網打尽にする必要がある」と捜査関係者。しかし、振り込め詐欺の場合、犯人の拠点が首都圏であるケースが多く「今までの2泊3日程度の出張捜査では隠れ家の割り出しなどできなかった」(捜査関係者)。

 それまでも、県警は振り込め詐欺捜査のため、警察庁に捜査員1人を派遣してはいた。しかし、県内被害の振り込め詐欺事件で金が引き落とされたATM(現金自動受払機)の防犯カメラや銀行口座の解析など、1人では捜査が暗礁に乗り上げることが多かった。

 その教訓から、推進本部では、電話番号や口座などのデータから解析する分析班と捜査班を分けた。

 そして捜査班の20~30代の若手捜査員約10人を3カ月~1年、首都圏に送り込み、長期捜査をさせた。「朝から晩まで張り込みや尾行の繰り返しで捜査は体力勝負。毎日張り込み先のファストフード店の領収書を持ってくる捜査員もいた」と言う。少ない端緒を頼りに地道な捜査を繰り返す。

 08年の県内の振り込め詐欺認知件数は46件15人(前年比42件14人増)。これに対し、推進本部を組織した08年5~12月の検挙数は44件13人。数字が成果の高さを示す。

 今年2月には鶴岡市の女性らからパチンコやパチスロ攻略情報名目で現金をだまし取ったとして、詐欺容疑などで首都圏に住むグループを逮捕。約5カ月かけ計13人の関係者を検挙した。これはマンションなどの隠れ家を次々と変えるグループを県警単独で捜査し検挙した初めてのケースだった。

毎日新聞 2009年6月13日 地方版

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