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【書評】『自衛隊はどこまで強いのか』田母神俊雄、潮匡人著 (2/2ページ)
このニュースのトピックス:自衛隊
問題の「PAC−3はテポドンを落とせるか」を見てみよう。田母神氏は「結論から言うと、航空自衛隊が保有するペトリオット・ミサイル(通称パトリオット・ミサイル)には、北朝鮮のミサイルを落とす能力があります」と断言する。潮氏があえて「必ずしも十分とは言い難い。まだまだ改善の余地があるのではないか」と指摘すると「北朝鮮が数十発の弾道ミサイルを同時に発射したとしましょう。それらを、すべて正確に捕捉(ほそく)し、確実に迎撃できるか。もし、そこから考えなければならないのなら、潮さんが言うように、改善の余地があるということになるでしょう。ですが、その前提は妥当でしょうか」と返す。田母神氏のバランス感覚が浮き彫りになるやりとりである。
ところが本書の出版直後、22日付朝日新聞朝刊は「『日本も弾道ミサイル配備』田母神氏、著書でまた持論」と題した記事を社会面に掲載し、「自衛隊の元最高幹部が政府方針を大きく逸脱する考えを表明するのは異例。再び物議をかもしそうだ」と読者を煽(あお)った。皮肉なことにこの記事の掲載直後、重版がかかったという。日本人のバランス感覚も捨てたものではない。(講談社・880円)
評・桑原聡(編集委員)
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