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三沢さん死因「頚髄離断」、遺体は東京へ

斉藤彰俊(右)は試合後、三沢光晴さんの遺影に土下座し、泣きながら謝罪
斉藤彰俊(右)は試合後、三沢光晴さんの遺影に土下座し、泣きながら謝罪

 13日に広島県立総合体育館で行われた試合後に急死したプロレス団体ノア社長で、プロレスラーの三沢光晴さん(享年46)の死因は、バックドロップを受けて頭部を強打したことによる頸髄(けいずい)離断だった。14日、広島県警中央署が明らかにした。最近は古傷の頸椎(けいつい)損傷に加え、肩、腰、ひじも痛めていたという。社長業と看板選手の両立、そして決して手を抜かない性格も、命を縮めた可能性がある。遺体は東京に運ばれ、近親者だけで密葬を行う予定。この日、ノアは「どんな状況でも全力を尽くす」という三沢魂を引き継ぎ、悲しみの中で博多大会を決行した。

 事故から一夜明けた14日、広島県警中央署が三沢さんの直接の死因を明かした。「関係者から夜中に事情を聴取した。診断名は頸髄離断。事件性はありません」。タッグマッチで対戦した斎藤彰俊のバックドロップを浴びて、頭部を強打した際に首に大きな衝撃を受けたようだ。リングに倒れた直後にはわずかに意識があったが、すぐに心肺停止状態に陥った。

 バックドロップは後頭部からマットに落ちる危険な技だが、三沢さんの「受け身」には定評があった。試合を見た百田副社長も「受け身が取れなかったということはない」と言う。リングドクター歴34年の新日本プロレス・コミッションドクターの富家孝氏は「三沢さんほどの選手が受け身を失敗することはまず考えられない。バックドロップが一つの引き金になって、循環器系に突然の異常が生じたのでは」と話す。

 実は三沢さんは首に頸椎(けいつい)損傷という爆弾を抱えていた上に、最近は肩、腰、ひじにも痛みがあったという。調子が悪くなると電気治療なども受けていた。それでもトレーナーには「問題ない」と話していたという。全日本時代からの付き合いの百田光雄副社長は「たまに肩がきついとか言うくらいで、泣き言を言わなかったからなあ」と、つぶやいた。

 社長業と選手の両立という激務による影響を指摘する声も多かった。最近はプロレス人気が低迷し、ノアは日本テレビの中継がなくなった。かつてFMWの社長兼選手だった大仁田厚氏も「両方やると負担がすごい。財政的なプレッシャーも抱えて、リングに上がらなければならない」。ドラディションを旗揚げした藤波辰爾は「業界が厳しい状況になって、彼の責任を大きくしたことも多少原因としてある」と話した。

 ノアは興行中止の選択肢もあったが、あえて福岡市の博多スターレーンでの興行を決行した。「社長はどんな状況でも全力で試合をすることを最優先させてきた。満身創痍(そうい)でもリングに上がった。ファンのためにも社長は中止を望んでいないと、全選手で確認し合った」(百田副社長)。満員の会場では第1試合の前に追悼ゴングが鳴らされ、三沢さんの入場曲とともに観客が一斉に「ミサワ」コールを送った。

 前日、三沢さんにバックドロップを見舞った斎藤は、試合前から涙を流しながらリングに立った。試合後は会場に設置された三沢さんの遺影に向かい、リング上から涙ながらに土下座した。前夜は一睡もせずに遺体の前で過ごしたという。「引退も考えた。でも社長は弱音を吐くと怒るので。まだまだやりたいことはあっただろうけど、社長はできない。おこがましいが、その分も頑張らないと。どんな十字架でも背負う」と泣きながら話した。

 14日夜、三沢さんの遺体は広島市内の病院から搬送車で自宅のある東京に運ばれた。百田副社長は「ご遺族の意向で、近親者のみの密葬と聞いている。ファンの方々には違う形で、改めてお別れする場をつくりたい」と話した。【塩谷正人】

 [2009年6月15日9時8分 紙面から]


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