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広島少年院暴行:PTSD、精神に深刻な影響 数人が受診

 広島少年院(東広島市)の法務教官4人が特別公務員暴行陵虐容疑で広島地検に逮捕された事件を巡り、収容少年のうち17人が不眠や不安を訴え、うち数人が精神科医の治療を受けていることが広島矯正管区への取材で分かった。心的外傷後ストレス障害(PTSD)などとみられる。【寺岡俊、星大樹、樋口岳大】

 同管区などによると、17人のうちほとんどは教官から暴行を受けており、受けていない少年も、他の入所者の被害を聞いて、心理的不安を訴えているという。全員が同少年院の心理技官の心理カウンセリングを受けたが、医師の診察を受けている数人は深刻な影響が出ているという。

 同管区は「保護者に状況についてきちんと説明したい。退院後は、現在服用している薬などの医療情報を伝える」と釈明している。

 地検によると、教官らは収容少年に、紙オムツを強要▽トイレに行かせず失禁させる▽洗剤の容器を口に押し付ける▽腹を殴ったり首を絞める--などしたとして逮捕された。

 犯罪被害者のPTSDなどに詳しい小西聖子・武蔵野大教授(精神医学)の話 被害者は、少年院という閉鎖空間で力関係がはっきりした相手から、「逃げられない」という無力感や恐怖を感じ暴行を受けている。恥の感情を強く刺激する暴行もある。こうした感情を伴う暴行を受けた場合、PTSDなど精神障害を発症するリスクが高まる可能性がある。

 ◇法務省検討、少年院法見直しも

 広島少年院で起きた収容少年への暴行・虐待事件を受け、法務省は、収容少年の処遇上の苦情や不服を上級官庁などで把握できるよう制度を改正する方針を固めた。現在の少年院法にはトラブルを外部に報告する制度がなく、同法の見直しも視野に方策を検討する。

 法務省によると、少年が処遇面で問題を感じた場合、院長との面接が認められている。しかし、訴えは少なく、苦情などが少年院外で諮られる制度はない。

 名古屋刑務所で起きた刑務官による受刑者への暴行事件を機に監獄法が改正され、刑事収容施設法が07年に施行。刑務所運営は、市民による刑事施設視察委員会の設置や、受刑者から刑務所外への不服申立制度などが創設された。だが、少年院法は1949年の施行以降、大きく改正されていない。

 制度見直しでは、苦情を申し出る制度の創設などを軸に法改正も含め検討されるとみられる。少年問題に詳しい日本弁護士連合会の幹部は「少年院が教育の場だからこそ、被害や不服申し出先の確保や外部機関による視察も必要だ」と指摘する。【石川淳一、坂本高志】

毎日新聞 2009年6月11日 大阪朝刊

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