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2002/12/13

時計の小話

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                        時計の小話 
  
                                     Vol.120

                    http://isozaki.727.net/
                                   
              
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私はマイスター公認高級時計師(CMW)の資格を持っていて、時計宝石メガネ店を
営んでおります。
時計のことなら任せて!と、技術に関しては自信を持っています!
オーディマ・パティック・ロレックス・バセロンは特に大好きな時計ですので
分解掃除をマガジン読者価格にてさせていただきます。
(贋作・コピー商品の修理は全く受け付けておりませんので、その点ご了承下さい。) 



● 時計の小話 第1話 (通算183話)  ユリス・ナルダン (ミケランジェロ) ● 



石川県の方から、ユリス・ナルダン ミケランジェロ自動巻腕時計の修理依頼を受けました。
http://isozaki.727.net/syuri-swiss_others.htm(載っています)
スイス旅行の際に買ってこられた腕時計で、インターネットで検索して
当店にご来店頂きました。

この時計はインジケーター付きで、セコンドとカレンダーがインダイアルにあり、
結構調整が難しい機構でした。
(同じミケランジェロ・シリーズにムーンフェイス・トリプルカレンダー搭載の
品番161−47 定価125万円があります。
これも基本的機械は「フレデリック・ピゲ社」Cal.9640と同じです。)


ナルダンキャリバーはCal.17-6 19石でしたが、もとをただせばブランパンにムーブメントを
供給している「フレデリック・ピゲ社」Cal.9640から派生して生まれてきた見事な機械です。
自動巻であるにも関わらず、厚さが3.25mmと言う薄さの為に、組立調整が極めて
難しいものでした。



この時計の故障の一つに、針を合わせる時にリューズを引っ張ると抜け落ちると言う事が
ありました。一般的にこういう故障は、オシドリネジがゆるんでいる場合や、
オシドリの巻真の溝に入るピンが摩耗してへたっている場合や、
オシドリを押さえる日の裏押さえバネが折れている場合等が考えられます。

しかし、このナルダンは薄型に仕上げて、オシドリの先端を巻真の溝に入れている為に、
何百回と針合わせをしている間に、オシドリの先端が摩耗したり、
巻真の溝がへたってきて抜け落ちるという原因でした。
ナルダンのパーツの供給が当店では出来ないために、カンヌキとオシドリの噛み合わせを
精密ヤスリですって緩やかにし、日の裏押さえバネとオシドリの噛み合わせも精密ヤスリで
緩やかにして、オシドリの先端を鋭角に仕上げて修理しました。


この時計は文字板の足がネジで地板に止めない方法(単に地板穴に文字板足を入れるだけ)を
とっているために、普通はケージングする前に文字板・針5本を全てムーブに組み込んでから
するのですが、ムーブのみを裏側ケース(ワンピース・ケース)に入れてから文字板・針を
取り付ける方法をとっていました。
(巻真がジョイント方式で汽車の連結部分と似ているやり方です)
そして文字板足を入れて文字板のガタツキをケースの上層部で押さえつけて動かないように
する方法です。


薄型にするためにこのような方法を採用しているので、アフターの修理作業が大変です。
セイコーのU.T.Dに自動巻を取り付けたような薄型であるために、組立調整に本当に神経を
使いました。
アンクルも極めて小さいために、アンクル爪に注油するのが本当に至難でした。
毎日こういう時計の組立調整をしているスイス・ナルダン工場の技術者の精神力に
脱帽したくなります。








・・・余談・・・
最近発売された、ある時計雑誌に、ある記事が載っていました。
その中でちょっと気になる事があったので書いておきます。

ある人が
「ハイビートの脱進機は動きが早すぎてガンギから油が飛び散ってしまう」と
述べておられましたが、この注油作業の方法はどうかな?と思います。

正しい油の刺し方をすればそういうことはハイビートでもあり得ないと思うのです。
一度に多くの油をアンクル爪に刺すからそうなるのであって、極少量の油をアンクル入爪に
刺し、ガンギ歯3つをアンクル入爪に噛ませた後、また極少量の油をアンクル入爪に刺し、
この作業を数回繰り返してガンギ車をアンクル爪に1回転させれば、
油が飛ぶという事は絶対おきないことなのです。

この方法なら万遍なく適切に適量がガンギ歯にアンクル油が塗布されるのです。
(ゼニス等の36000振動の腕時計ではメーカーでは当然このような油の刺し方を
しているはずです。
アンクルの油が、ある人が言うように飛び散ってしまったら正常に長く動きません。
ゼニスは長期間、精度がイイのは使用者には判りきった事実です。)

アンクル爪に一度に多く注油すると、アンクル爪の根元や、ガンギ歯の歯の根元の方に
流れてしまい、結局油を多く刺しても、適量を適切に刺すよりも全く逆効果に
なってしまいます。
よく雑誌で「ハイビートは寿命が短い」言っていますが、このようなアンクル爪の
油の刺し方では、当然そのようになってしまうのも仕方ない事です。
(もう一つの飛び散る原因は、ハイビート専用のアンクル油ではなく、
粘着力の弱いロービートのアンクル油を刺している場合も考えられます。)






● 今週のお買得 No.1 ●

***当店からのクリスマスプレゼント***

ZENOを税別25%オフ!(HPに載っている商品に限ります)
ご注文の際は「読者です」とお書き下さい。

期間12月14日(土)〜20日(金)まで 各1本限りです!

http://isozaki.727.net/zeno.htm


 
● 今週のお買得 No.2 ●

たまには時計以外の贈り物もいかがですか。クリスマスも近いですし・・・

プラチナ、K18金ネックレス
http://isozaki.727.net/neckless.htm




●今週のお買得時計 No.3 ●

今、人気急上昇中の新鋭時計メーカー『フレデリック・コンスタント』
文字盤職人が興しただけあって、非常に文字盤が凝ったデザインが多く優れています。
また、コスト面でも日々努力しているメーカーです。

**フレデリック・コンスタント ハイライフ ハートビート**
(12時位置に天府が見える丸窓があり、一番人気のあるモデルです)

http://isozaki.727.net/heartbeat.htm


**フレデリック・コンスタント クラシック クロノグラフ**
(10万円台のクロノグラフ。ローマン数字の落ち着いたデザインです)

http://isozaki.727.net/fc_chrono.htm

特別価格でお売りいたしますので、メールにてお問い合わせ下さい。



●今週のお買得時計 No4 ●

フレデリック・コンスタントの『レトログラード』が入荷しました!
http://isozaki.727.net/fc_retrograde.htm

読者様に限り、定価¥380,000を¥300,000(税別)でご奉仕いたします
1本しか入荷していません。




●今週のお買得時計 No.5 ●

◇DAKS◇

DAKSは英国王室御用達の信頼のおけるメーカーです。
クロノグラフ(黒文字板・白文字板)を各1本ずつ揃えました。

読者の方には『税込み』でご奉仕致します。
定価120,000円を税込み84,000円にします。

http://isozaki.727.net/otoku_watch.htm






● 平成15年度・時計技術通信講座生を3名・募集のお知らせ ●

       〜イソザキ時計宝石店の時計技術通信講座〜

ご要望にお応えして、時計があまりわからない方でも一通り機械
の事がわかるまで、基本的な時計学と基礎的な実技
(分解・洗浄・組立・調整等)の基本的作業をメールと年間4回
マンツーマンでお教えします。
2003年度の生徒を3名募集します(1名決定、現在10名の方が応募されています )。
申し込み締切は12/15までで、選考の上12/25に講座生を決定し、
メールでご連絡いたします。

条件

・年4回(2月、5月、8月、11月の第3水曜日AM9〜PM5を予定、期日を変更する場合があります)、当店に来られる人が条件です。
マンツーマンの個人指導しますので松任市までご来店出来る人のみお受けしています。
メール・電話だけでは限界があるからです。

・教材、工具、通信費、教育費等で1年間10万円です。

・本人の努力、熱意にもよりますが1年間で基礎的な事は教える予定です。
能力にも差異がありますが、集中的に勉強すれば器用な人で5年〜7年で一流 の
時計師になれます。
趣味で腕時計(手巻き・自動巻)の分解掃除ぐらい出来るようにお教えする予定です。

・とにかく時計の大好きな人が第一条件です。
 最初はみんな素人なのですから。

・もし、受講希望でしたら履歴書をお送り下さい。
 メールで結構です。(採否をお知らせします。)

・原則として年齢は40才までです。
  

教材、工具(こちらで支給します):
・オリエント自動巻腕時計 ・剣抜き器 ・こじあけ 
・ピンセット
 (組立用1個・ヒゲゼンマイ用1個) ・ドライバー ・ちり吹き 
・キズ見(2種類) ・指サック ・掃除木 
・機械台 





● 『時計愛好倶楽部』設立 メンバー募集のお知らせ ●


いつでも入会できますので、ふるってご入会下さい(詳しくはVol.7をご覧下さい)。
まだまだ募集しています。


時計修理も受け付けております。

isozaki@fox.ne.jp


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■ マガジンID:0000037539
■ 発行者:磯崎 輝男(イソザキ時計宝石店)
       石川県松任市安田町17-1 電話番号(076)-276-7479
■ ご意見・ご感想など:isozaki@fox.ne.jp
■ http://isozaki.727.net
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